1月26日に、GMOインターネットグループ主催のGMO SONIC 2024 前夜祭テックイベント『GMO 渋谷 FUTURE 2024 - GMO SONIC Warm Up (以下動画リンク添付※)』」において、

東京大学大学院の松尾豊教授は、基調講演の中で、AIの現状、未来の展望、そしてその社会的影響について深い洞察を提供しました。興味深かったポイントを以下にまとめます。

 

  1. AIの進化の速さとその影響: 松尾教授は、AI技術が急速に進化している現状を強調しました。特に大規模言語モデル(LLM)の開発が目覚ましく、OpenAIのGPT-4やGoogle Geminiのような巨大なモデルが登場し、これらのモデルは人間の言語処理能力を模倣し、更に超える機能を持っています。このようなモデルの開発によって、AIはより複雑なタスクを処理できるようになり、新たな応用領域が開かれています。

  2. LLMの使用法と能力の変化: LLMは、その使用方法によって能力が大きく変わると教授は指摘しています。例えば、LLMが生成した出力結果に含まれる誤りや虚偽をチェックするために、LLM自体を用いる方法があります。このような自己検証のプロセスは、より正確で信頼性の高い結果を生み出すことにつながります。

  3. LLMの自己改善: 松尾教授はまた、LLMが自己改善を行う能力についても言及しました。LLMは自ら生成した回答を自己チェックし、その結果を学習データとして利用することで、モデルの精度を向上させることができます。これにより、LLMは時間とともに自己進化し、より複雑な問題に対応できるようになると述べています。

  4. 領域特化の重要性: 汎用LLMとは異なり、特定の領域に特化したLLMを開発することの重要性を強調しています。このアプローチにより、特定の業界や領域において、より高い精度と効果性を持つモデルが構築されます。これは、医療、金融などの分野に特化した知識が必要な業界において特に重要です。

  5. 行動するLLM: 現在のLLMは主に言語出力に限定されていますが、教授はブラウザ操作などの具体的な行動を行うLLMの出現により、AIの可能性が大きく広がることを指摘しています。このような進化は、AIがより多様なタスクを自動的に行うことを可能にし、人間の仕事の多くを自動化する可能性があります。

  6. AGI/ASIへの道: 人間の知能も一種のアルゴリズムであるという観点から、松尾教授はAGI(人工汎用知能)やASI(人工超知能)の実現が可能であると述べています。AGIは人間と同等の知能を持つAIであり、ASIは人間の知能を超越するレベルのAIです。これらの概念は、AI技術が将来どのように進化するかについての重要な指針を提供します。

これらの点を通じて、松尾教授は、AIが社会に与える影響を深く洞察し、未来のAI技術の可能性について詳細に論じています。

個人的に松尾さんの口から、3年以内にAGIは実現されると思うというコメントが出てきたことは印象的でした。

 

上述したLLMに関する新たに明らかになった各種の特徴を、次回以降もう少し掘り下げていきたいと思います。

 

※イベント動画リンク

https://www.youtube.com/watch?v=RTblyeHS13A&t=2468s