バイオプラスチックとは
微生物によって分解するプラスチック。生分解性プラスチックともいう。
焼却によって有害ガスを発し、埋め立てても分解しないプラスチック製品の普及によってプラスチック公害が問題化しているため、自然界で分解するプラスチックの開発が求められている。
バイオプラスチックは微生物が合成するポリエステルを精製してつくるもので、微生物によって炭酸ガスと水に分解されるためため、自然界に散乱しやすい釣り糸や漁網などへの実用化が待たれている。
欧米ではすでに包装や容器などに実用化されており、特にイタリアでは1992年から分解性以外のプラスチックの使用を禁止した。
ドイツでの大規模工場建設
ドイツ東部のブランデンブルク州シュヴァルツハイデでは、ジャガイモのでんぷんからバイオプラスチックを生産する工場の建設が計画されている。工場は年間最高3 万5,000 トンの生産規模を誇り、これだけの規模のバイオプラスチック生産工場が建設されるのはヨーロッパでは初めてと言われている。
バイオプラスチックの歴史と現状
バイオプラスチックは1990年代に登場し、コンポスト化により廃棄物量を抑制できると同時に、コンポスト化の段階で二酸化炭素が放出されるものの、二酸化炭素が植物によって吸収されてニュートラル化されることから、環境団体などはバイオプラスチックの普及に大きな期待を寄せていた。
ドイツでは、廃棄物の抑制とリサイクルを促進するため、1990年代はじめから、廃プラスチックなど容器包装廃棄物は分別回収された後、破砕、分別してリサイクルされている。そのコストは、製造業者が商品の容器包装にグリーンドット・マークを施すためにライセンス料を支払うことで賄われているが、このコストは通常、商品価格に
上乗せして回収されている。
こうしたグリーンドット制度はすでに定着しているものの、相当な手間とコストがかかる。そのため、ドイツでは、化石燃料から製造されるプラスチックの容器包装が年間数百万トン単位で利用されているのに対して、バイオプラスチックの消費量は2006年でも数千トン程度にすぎない。
普及への課題
バイオプラスチックが普及しなかった要因の一つは経済的な問題である。現在も、バイオプラスチックは石油から製造される従来のプラスチックに比べ、2 ~ 4 倍も高い。
バイオプラスチックを従来のプラスチック同様に、軽いばかりでなく、丈夫で、気密性が高く、熱や紫外線に強いものとするためには大きなコストがかかる。さらにフォイルの場合には、接着性も要求される。
2006年秋、清涼飲料水用にはじめて、生分解性ポリマー製のバイオプラスチックボトルが登場したが、強度が十分でない上、蓋の締まりが悪く、2007年3月に回収されてしまうなど、まだまだ技術上の問題が指摘されている。
また、ドイツの多くの地域では、生ゴミなどバイオゴミも分別回収されているが、バイオプラスチックが登場した場合、一般消費者が正しく処分できるかどうかの問題も懸念されている。一般消費者が従来のプラスチックとバイオプラスチックを識別して分別できるかどうかという問題である。バイオプラスチックがバイオゴミとして捨てることができるようになると、従来のプラスチックもバイオゴミとして捨てられてしまう可能性が高く、その場合、バイオゴミは回収後にもう一度分別されなければならなくなる。
バイオプラスチックには、まだこうした諸々の課題がある。それでも、欧州バイオプラスチック製造者連合会のケーブ会長は、近い将来、バイオプラスチックがブームになると予測する。
以上、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)レポートを参考にしました。
課題はいろいろあるけれど、現在の年間使用量の数倍の生産能力のある工場を建設するように、行動に移しているところがドイツの温暖化防止への意気込みを感じます。
しかし、経済的な問題は影響が大きいのではないでしょうか。環境にいいものとは言っても従来品の2~4倍のコストでは普及しにくいと思いました。
欧州バイオプラスチック製造者連合会会長の自信はどこから来るのでしょうか。
バイオプラスチック普及に取り組むとともにバイオプラスチック生産コストを抑える研究を並行して進めていくことが急務と感じました。