さて、玄関棟4階の2つめおよび3つめ。
■通り過ぎて消える足音
前回も書いたが、玄関棟4Fは怪談が一つしかない。
階段から自分の部屋か、共通のトイレか、共通の洗面/洗濯場かに行く以外は、通常は用事がない。
4階の奥から2つめの友達の部屋によく入り浸っていた。
週末ともなると2時3時、場合によっては明け方まで飲んでいた。
若いんだし、将来の夢、年頃なりの恋愛事情など、話は尽きることはなかった。
領内はスリッパ履きであり、廊下を歩くとペタペタと音がする。
どの辺で止まったから「あ、○○が帰ってきたな」とか誘いに行ったりもしたものだ。
なお、1番奥は空き部屋であり、1番奥の部屋の前付近には共同の冷蔵庫があった。
共通のトイレ、共通の洗面/洗濯場はその手前にある。
さて、そんなときに結構急いだ足音が近づいてくる。
トイレかな?洗濯かな?ん?通過したな、冷蔵庫かな? ん?
奥から2番目の部屋の前を通過し、更に奥に行ったきり、気配が消えるのである。
決まって結構早足で、それほど頻繁ではない。多くて一晩で3階くらいか。
たいがい12時までには終わる模様。
また、私自身の部屋に居たときも同様の音は聞いていたが、部屋の扉を開け話しているときにその音がしたことはなかった。
■黎明の金属音
個人的にははじめにこれに遭遇した。ただたたよく分からない。
3回は聞いていて、うち少なくとも1回は友人たちとも聞いている。
夜明け頃、雀の群れが鳴き出し、その鳴き声がひとしきり収まるころに聞こえてくる金属音があった。
寮内の窓枠に金属の手すりがあったので、それでも叩いている音なのか?それにしては少し高い気がする。
当時イメージしたのは、金属の松葉杖で金属を叩いている感じだったか。
音がするだけなら、いい。小さいし。
ただ、その音が徐々に近づいてくるのだ。
おそらくはじめは1階とかなのだろう。それが徐々に、徐々に大きくなってくる。
最後には結構響いた音が聞こえるが、すぐ近くに居る、という感じでは無かったので、おそらく3階くらいで教室等に移動していったのではと推測している。
とまあ、ヒマなので昔話を書いてみた。
そうすると、あ、そういえば、というものがもう少しあった。病院や寮ではないので、それはそれでまたいずれ。