今回は私が住んでいた玄関棟4階での話を書いてみる。

前回の補足だが、玄関棟には階段が2つある。教室棟と玄関棟がL字型に並んでいると前回書いたが、玄関はL時の角(かく)の付近にある。
玄関棟の階段は2つある。玄関を入って左側、これは比較的近い位置にあるもの。玄関棟を入って右側の奥の方にあるもの、戸に分かれる。
2階と3階にはどちらからでも行けるが、4階には右側の階段しか通じていない。4階部分は教室棟側に伸びておらず、短い訳だ。

その中でも比較的L字の角に近い方に私は住んでいた。
部屋に行こうとすると、玄関に入り右、階段を4階まで上がり戻る、って感じだ。

4Fは10部屋で、完全に行き止まり。基本他の人は通らない。静かなものだ。
しかも教室棟は廊下を挟んで両側に部屋があったが、玄関棟は片側にしか部屋が無い。日当たりは良いし、空気の通りも良い。

部屋には鍵があったが、たいした物はなかったので鍵を掛けることもほぼなかった。(実際、盗難もなかった)


前置きはこのくらいでよいだろうか。

ここからは体験した話を書く。

■金縛りの前兆

高校時代から、たまに金縛りに遭うようになった。
霊的な物なのか、疲れているからなのか、よく分からない。
初めて金縛りにあったときは地の底からうなり声のようなもので問いかけがあり、怖いと言うよりそれに応えていた。
そのときは自力で解くことができたが、すごく汗だくになったのは覚えている。

その後、ときどき金縛りになったが、面倒なときはそのまま眠ってしまうことも多かった。

さて、この寮では金縛りの前兆があった。
寮にはクーラーや扇風機なんかはない。夏は窓は網戸のみで部屋の扉は開け放しで寝ていた。
そんな夜で夏、特に湿度の高い日、それもとても嫌な感じの、生あたたかい時があった。
そのときは金縛りに遭った。2回だけであるが。
2回とも、髪の毛をぐしゃぐしゃ触わられるような感覚で、自分では解くことはできなかった。

解けるきっかけは音だった。

1回目はたぶん下の階で誰かが石鹸箱を落とした音。
2回目はわずかに吹いた風が、空いている戸を動かしてカタッと鳴った音。

不思議なことに、解けた後には湿度の高い感じが消えており、すっきりと眠ることができた。

疲れているに日「ああ、今日は金縛りになりそうだな」と感じることは以降にもあったが、湿度などでなるような経験はその2階だけである。


あと2つほど話があるのだが、書き切ってしまうか。ヒマだし。