しばらく前、ふるさと納税に対する議論を耳にする。もうあまり聞かなくなっているがその件を少し。

耳にしたところ

・都心部では税収が落ち込んでいる。東京23区でつくる特別区長会ではふるさと納税で23区の減収となる額が、2016年度で129億円、100人規模の区立保育所109カ所分の年間運営費に相当すると試算する。

・納税額に対して返礼品に対する支出割合が高い。

 

この二つについて。

 

都心部の税収の落ち込み

まず、探し方が雑だったかもしれないが、23区の収支が企業並みのバランスシートが見当たらないため、これから書くことは間違った前提に戻づくかもしれないので、結論も間違ているかもしれないことをお断りしておく。

 

平成27年度でいえば、23区の区税収入はで10,000億ほど、つまり1兆円ほどある。その他の収入を合わせた23区の歳入だと3.5兆ほどある。確かに減収はありがたくないのは分かる。しかし、平成28年度も同程度と仮定して(資料がない。平成27年度の資料が丸一年かかって公表されているようなので、おなじくらいかかるかと)、129億はそこまで大きい額だろうか?

129億が拡大し減っていく傾向にあるとしても、区税収入の1.5%未満、歳入と比べると0.3%程度である。これまでの変動の範囲内には収まっているのではないか。

 

また、区立保育所109カ所分の年間運営費に相当という、数字を敢えて未成年の福利に関わるものに換算するところが気になる。築地移転費用と比べて、といった言い回しは決してしないだろう。他の市町村でも費用が掛かる際に未成年の福利(15歳までの医療費の無償化ができなくなる旨)へと換算していたので、常套手段なのかもしれない。今の流行り言葉でいう「印象操作」なのだろうか。

 

納税額に対する返礼品に占める割合が高い

総務省が返礼品を寄付額の3割程度にすること、などを通達として出しているが、有識者/地方団体の実務者/全国知事会、全国市長会、全国町村会で出された意見を見ていてもまだ様々な意見が出ている状況である。

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000037.html

 

ふるさと納税のうち、自治体の取り分がどうか自治体に任せればよいのではないかと思う。

地場産業を育てたい、観光客を呼びたい、生産品の良さを知ってもらいたい、など、自治体にとっての思惑は様々だろう。

・思惑を広告料を払わずともアピールができる場を持てる。

・返礼品を通じて地場産業が育つ、観光客が来る、生産品がよさを知ってもらえる、となれば地元にお金が落ちることになり、結局は税収増は見込める。

 

各自治体がその地域をどうしていけばいいのか、考えて試していけばいいのではないかと思う。

 

もし、一つ目に挙げた問題が、というなら、ふるさと納税額で得られるメリットの上限を低めに抑えれば解決しそうではある。