昔、そう、もう10年くらい前になるか?あるフリーランスのエージェントで「ブリッジSEとは」という説明会と、その後に面接がある、ということで行ったことがある。

説明会は盛況で、かなりの数の人が来ていた。中国に何度か言ったことのある経験からすると、向こうの生活水準からして月の単価はかなり高額かなとは思ったが、日本円で考えると「安すぎる」と感じるものではあった。
説明会後、私自身は帰ろうかどうか迷ったが、グズグスしているうちに帰る機会を逸し、面接に臨むことになった。

金額のことがあるので、案の定、あとの面接に残ったのは数名であった。

面接は私が最後であった。私は「面接受けがとてもいい」ので、私の面接の途中で先方が「この人でいいんじゃないか?」と言い出す始末。現地の中国人責任者も気に入ってくれたりもした。


が、結局は断ることにした。理由はただひとつ。その面接の中で日本人で日本に常駐しない立場の人が言った一言だ。
「いっそのこと中国に骨をうずめるつもりでいってみたら」という一言。

本人にとっては何気ない一言だったのだろう。

私一人ならいざ知らず、言語も文化も違うところに家族を連れて行く、というのはそんなに簡単に決められるものではない。こちらの家族の人生を考えれば、そんな軽々しく言える言葉ではないのではないか。この人は私の人生をまじめに考えず、「便利な駒」とか「儲かる金づる」としか見ていないんだろうな、と感じてしまった。

その言葉さえなければ、もしかすると今でも中国にいたのかもしれないなと思う。