このところ「節電のため19時消灯を」ということが今の仕事先で行われている。初日は無視して徹夜というひどいことをしたが、その週の終わり頃には19時頃に帰宅の途についたものの、まっすぐ帰るはずがない。久しぶりに過去にいたプロジェクトの仲間に電話すると、既に電車で帰宅の途上だったのを引き返してくるという。
 飲み出したら分かった。とても飲みたかったのだ。大手製造業のアウトソーシングをこれまた大手ITベンダーが受注しているのだが、ここのベンダーのマネジメントがひどすぎる。私が参画していた頃からひどかったが、今はそれよりもひどいと愚痴っていた。

 実は私がその現場を去ることになったのは大手ベンダー側から「仕切り屋は言われたことをしないで暴走する」との理由であった。ただ、双方の会社間で事務的な手続き関係が何もできていないなかで、顧客にくらいついて教えて頂くしかなかったので、ベンダーの言うことなど聞いていられるはずもない。更に言えば大手ベンダーからの指示はないに等しかったのだ。その中で指示されてはいないが必要になることはかなりやった。例えば社内の問い合わせ先のアウトソーシングについては必要な電話回線の手配、交換機の会社との交渉、必要な交換機の部品や留守電メッセージのための機器の見積もり、調整、レイアウトの構成上の調整、など、単に「ものを入れればよい」というだけではなく「動線も含めきちんと機能する組織のインフラ部分」は準備した。それもお客様に提案書を書いた上で、費用に関してはベンダーに了承を得た上で、である。これがまずいことだろうか?しかしこういうことが理由にされたのである。

 一緒に飲んだ人の愚痴に戻ろう。当時、例えばお客様先で使うID一つ依頼するにも取り決めをして、発行依頼が必要であったが、その先鞭は誰も行っていなかった。やむなく仕切り屋がやるものの、そもそも契約的にもにどうしていこうという話が詳細化されていないため相談しながらしかなく、非常に作業効率が悪く、現場に迷惑をかけていたのは分かっていた。
 そういうことを整備した現在において、私がやっていたころより更にひどくなっているという。それも今は大手ベンダー側のそれなりの役職が担当しているという。「当時はたかだかIDくらいで何をちんたらと思っていましたが、手続きが面倒なのも分かりましたし、その上で先鞭をつけてもらったのに、その役職の奴は相手の担当者を一日待ち伏せして終わり、とかで今日も駄目だった、とかいう報告をしやがるんです。当時の方がずっとよかった」とのことであった。


 そもそもマネジメントができていないなと思っていたが、今にいたってそれではもうどうしようもない状態のようだ。外注を叩いて低料金で使っているのだが、そろそろそれも限界らしく、そろそろプロジェクト自体が変革の時期かもしれないとのことであった。

 しかし、この状態なら通常のマネジメントが出来る人間に責任と権限を与えて任せれば十分に立ち直らせることができるレベルでもある。なぜその大手ベンダーができないかというと自分たちに変な自信があり、新しいことを学ばないからに他ならない。
 よく言われるのが、恐竜は変化に対応できなかったから滅びたという。大手ベンダーも正直そういうところがあるだろう。ただ、そういう場合でもお客様に迷惑をかけてはいけない。
 我々のような小さい連中がジョイントベンチャーなどを組んでマネジメントチームを作り運営できるようなことがあれば、コストも大幅に下げられる。そういう提案を行っていった方がいい時期なのかもしれないなと、ふと思った。