話題としては遅きに失しているが、尖閣問題ビデオ流出に関して。

個人的には
・流出させた人は公務員の倫理上、よくない行為である。
・刑事罰は問えないのではないか。せいぜい組織内の処分であろう。
と思う。

まず、公務員というものについて。彼らは「法律や条令、内規」の範囲内での行動が許容されており、権限を持たない者が組織の承認を得ずに内部資料を勝手に公開してはいけない。今回はたまたま国民から公開の声があるがために賛同の声が多いが、ここは公務員として越えてはいけない一線であろう。

次に、組織内での情報管理について。情報が電子化されることにより、複写が簡単にできてしまったり、その痕跡をたどりにくかったりということは昔から言われていることである。流出した情報は、組織内でどのように取り扱いすべきものなのか、分類され、管理されていたのだろうか、というとそうではないらしい。
報道によるとこういう事件や事故の事例は教育用として共有されることがある、という話であるが、ならその教育用の情報は外部公開していいのか否かの決まりがあったのか、また、持ち出してはいけないなら、それなりの防御策を採っていたのか、という点が未だ報道されていない。いまどき民間企業でも自治体でも対策は採られているというのに、国防にも関わる組織でそういうことがルール化されていなかったとすれば、そもそも組織上に大きな問題がある、といえる。

最後に、処分の問題について。大臣や長官を辞任させても全く意味はないだろう。それより、電子政府を掲げてIT化を推進してきたにもかかわらず、セキュリティ問題にこの程度しかされていないことの方が問題である。
今回は、ITの利便性のみ活用し、その危険性を組織として認識せず、いい加減な管理しかできていなかったから起こったものだろう。再発しないよう、きちんと対策を摂る必要がある。

おまけとして。
・どこの業者がその程度の提案をしたのかが知りたいものだ。仮に保安庁側からその程度の要望しかなかったとしても、リスクをきちんと認識させるべきであっただろう。IT業界として、監査的観点での提案ができる人材がまだまだ不足しているのかもしれない。