多くの人が、人を「好き」「嫌い」で判断することがある。何か惹かれるものがあったら他の悪いところが見えなくなる「恋は盲目」状態になったり、何かイヤになったら、それまで友達だったとしても全否定になったり。

上記は「思考の軸が浅い」を例示した。仕事でも思考の軸が1つの場合を結構見かける。
例えば「それのメリットとデメリット」なんかどうだろう
 メリット:業務が短縮される・初期費用はかからない
 デメリット:ランニングコストがかかる
これ、笑ってしまうかもしれないが、実際に出てくることがある。これはメリットデメリットではなく、一般論である。こんなので何を評価できるだろうか。

じゃあ、深堀ってなんだ?といわれるかもしれない。なんら難しいことではない。
深掘りする際の観点として、一番単純なものは
・いくらかかるか(初期費用/ランニングコスト 他)
・その効果は
である。

例えばインターネットをISDNからADSLや光に変更する、という場合。「それだけ費用を掛ける意味があるか」という点がある。

例えば次のような回答(金額等はダミーです)なら比べやすいのではないか?

■いくらかかるか
 ○初期費用
  ・工事費や切り替え費用で8,000円かかる。
 ○ランニングコスト
  ・月額固定の 4,000円(電話料金の基本料除く/モデムレンタル料等含む)  
  ・今のデータ通信費が月額平均6,000円である。

■その効果は
 ○速度の改善
  ・インターネットの速度が論理値で15倍高速になる。
  ・ダウンロードが多いので、1分かかっていたものが4秒になる計算である。

 ○費用の改善
  ・月々2,000円程度安くなる。
   ⇒初期費用の8,000は4ヶ月で回収でき、あとは月々2,000円づつ経費節減ができる。

 ○その他の効果
  ・インターネットと電話の並行利用が可能。
   ⇒通信中は電話が、電話中は通信ができないが、同時利用が可能になる。


上記、結構いい加減に書いたが、先ほどのものと何が違うのか。
・効果を定量的に表現している
・最も気になる費用面に力を入れ、どのくらいで費用が回収可能かを明記している。
 ⇒この期間のことを ペイ・バック・ピリオド ともいう。


さらりと読めば、当たり前のことなのだが、実務で生かせていないのではないか?
IT化投資の提案でよく「こんなことができるようになる」「技術的にこんなことが可能」とかいう話を聞かされることがある。しかし、その案件に費用を掛けるかどうかを判断する立場の人にとっては、技術的な話はどうだっていいのだ。

彼らの興味があるのは、ITを使うことによる
・コスト削減
・利便性の向上、従業員の生産性の向上
・業務速度の改善
といった、企業としての競争力を上げることである。また、これらはすべてコストに直接的/間接的に影響を与えるのだ。

エンジニアも営業も、このあたりはしっかりと念頭にいれておくべきだろうし、それができないなら営業の価値はない。また、エンジニアも自己満足に陥っていないかを検証したほうがいいかもしれない。