机上で調べただけで、実態を知らないので、間違いがあれば指摘していただきたい、というのを前置きに・・。

通常、教科であれば文部科学省の出す学習指導要領がある。そこから都道府県や市町村、または学校ごとにシラバスが作られている、という流れらしい。
で、シラバス以前の原点である、小学校の学習指導要領を見てみた。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/syo.pdf
この中で、「コンピュータ」という単語は5ワード、箇所としては4箇所である。以下、引用する。

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◆1箇所目
場所:第1章 総則/第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
本文:2 以上のほか,次の事項に配慮するものとする。
(9) 各教科等の指導に当たっては,児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け,適切に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
※注記 (1)~(8)及び、(10)~(12)は省略した。

◆2箇所目
場所:第2章 各教科/第2節 社会/第3 指導計画の作成と内容の取扱い
本文:1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(3) 学校図書館や公共図書館,コンピュータなどを活用して,資料の収集・活用・整理などを行うようにすること。また,第4学年以降においては,教科用図書「地図」を活用すること。
※注記 (1),(2),(4)は省略した。

◆3箇所目
場所:第2章 各教科/第3節 算数/第3 指導計画の作成と内容の取扱い
本文:2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(5) 数量や図形についての感覚を豊かにしたり,表やグラフを用いて表現する力を高めたりするなどのため,必要な場面においてコンピュータなどを適切に活用すること。
※注記 (1)~(4)は省略した。

◆4箇所目
場所:第2章 各教科/第4節 理科/第3 指導計画の作成と内容の取扱い
本文:2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 観察,実験,栽培,飼育及びものづくりの指導については,指導内容に応じてコンピュータ,視聴覚機器などを適切に活用できるようにすること。
 また,事故の防止に十分留意すること。

※注記 (2),(3)は省略した。

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大きく分けると、「コンピュータの教育」と「教科での活用」と読み取れる。
「コンピュータの教育」は1箇所目、「教科での活用は」2~4箇所目。

まず、「教科での活用」を見ていただきたい。アンダーライン部分は「目的」にあたる部分だろう。赤文字部分は「手段・方法・適用場面」といったところか。

次に「コンピュータの教育」にあたる部分を見てみよう。
これも、アンダーライン部分は「目的」にあたる部分だと考えている。

これを読んで、どういう感想をお持ちになるだろうか?
まず、「どう指導すればいいの?」という具体的なことは明確ではない。つまり、地方、教員が自由裁量で行って良い部分とも言えるが、教育のばらつきが出てしまうことは否めない。過渡期であるからやむを得ない部分もあるのだろうけれど、少々乱暴な気もする。
なぜ乱暴か、というと、今までの教科を教えることに関してはプロフェッショナルであり、教育現場にも知恵や知識の積み重ねがあるだろう。しかし、同じ教育とはいえ、コンピュータというモノは先生方によっては「触ったこともない」という方も多くいらっしゃったはずだ。また、どのように活用されてきたのかなんて、多忙と言われる先生方がそうそう理解できているとも思えない。こういっては失礼だろうけれど、コンピュータの素人に「コンピュータを教えろ」という指導要領を出して、果たしてどの位の成果が見込まれるのか?

地方によってはとてもいい試みがあるのは知っている。しかし、それがモデルとなり地方に伝搬しているわけでもないようである。あくまでも「意欲のある先生方」が情報交換をしているレベルで、事例を全国に積極的に紹介しているようでもないらしいのだ。
先ほども「過渡期」ということを書いたが、それがいつまで続くのか?学校にパソコンルームを備えた所は多いようだが、早期に導入したところではそろそろ新しいものに入れ替えないと、というところもあると聞くが、新規ならともかく、償却して、という発想は薄いらしい。

どうもこのあたり、先日来気になってきたところである。


なお、参考までであるが、学習指導要領は販売もされている。上記で引用した、総則、社会、算数、理科を以下に紹介するが、この値段には驚く。特に理科は「送料無料の値段まであとちょっと!」の時に併せ買いしても損した気にならないお値段ではないだろうか。


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