
幼稚園の年中の頃の話。たまたま親と同じ布団に入って寝ようとしていたとき。「眠れない」と言うと「羊を数えてごらん」と親に言われた。
数えたことがなかったので、「夜、柵を跳び越えて囲いの中に入っていく羊」を数えていた。
一匹目が柵を跳び越え、柵に入る。二匹目が柵を跳び越え、柵に入る。そうするとさっきの羊とあわせて2匹が柵内に居る。三匹目が柵を跳び越え、柵にはいると、さっきの羊とあわせて3匹・・というように、数えた羊を柵の中にため込んでいた。頭の中には「数」ではなく、「増えていく羊」の映像が広がっていった。
年中程度の幼稚園児が考える映像なんてたかだかしれている。そのうち柵の中に居る羊がいっぱいになってきて、柵から溢れそうになってきた。もうこれ以上羊を増やせないところまで増えてしまった。そこで半ベソで「羊がいっぱいで眠れない」と親に訴えた覚えがある。おそらく、その後直ぐに眠りについたのだろう、その先の記憶は親に優しい言葉をかけてもらったような記憶がおぼろげにあるだけだ。
その話、よほど面白かったらしく、後で折に触れて何度かその話を聞かされた。
教訓:羊を数えたらそのまま見失うべし