技術コンサルと経営コンサルとの違い(7) | 技術コンサルティング研究会 BLOG

技術コンサルと経営コンサルとの違い(7)

こんにちは。がーすーです。

技術コンサルと経営コンサルの違いについて考えるに当たって、まず技術と経営の差について考えてます。
次に、課題抽出・分析・課題解決手段の各プロセスに焦点を当てて考えていうこととします。


1.技術と経営の差について
技術については、前回考えた通り「誰がやっても、ある程度の確率で、同じ結果が得られるもの」としておきます。
経営とは、これまた広辞苑によればいくつか意味ありますが、コンサルが扱う経営に近いのは、「継続的・計画的に事業を遂行すること」ですかね。
経営が技術と違うのは、他人と同じことをやっても同じ結果を得ることは難しい点にあるかなと考えられます。外部環境の影響が大きいという感じでしょうか。
また、経営のアイデアは資金さえあれば直ちに実行できることが多いですが、逆に技術のアイデアは良いものを見つけたが何に使えるかわからないことが多いと思われます。
ただし、経営のアイデアを特許で守るのは難しいですが(IT以外)、技術のアイデアは特許で守れるどころか他社を排除できたりします。
ノウハウ化するにしても、経営のアイデアはよくよく見れば他社がわかってしまいますが、技術のアイデアは最終製品みてもわからない場合が多々あります。
以上から、「アイデアを抽象的に扱う必要があるか」が技術コンサルと経営コンサルの1つの違いと言えます(これは弁理士が担当する分野かも知れませんが)。


2.課題抽出について
(1)共通点:
技術コンサルであっても、経営コンサルであっても究極的な目標同じになると思います。
すなわち、そのお客様の将来の望ましい姿を決定し、現在の姿との差を見つけること、となります。
(2)相違点:
上記の差の埋め方に対し、主として技術的側面からアプローチするか、経営的側面からアプローチするかが異なる点と考えられます。
あくまで、「主として」なので、お客様の最大の利益を考えるならば技術コンサルも経営を含め森全体を見る必要がありますし、
経営コンサルも個々の技術を含め森全体を見る必要があります。
一方、最初にどちらのコンサルに頼むかについては、お客様の判断次第、細かくみればお客様のどの部署がコンサルに依頼するかが大きなウエイトを占めると思われます。

以上より、課題抽出プロセスでは、「将来の望ましい姿にどうのように近づくかのアプローチ方法」が技術コンサルと経営コンサルの違いといえます。
ただし、両方のアプローチ方法を持っていた方がお客様の最大の利益にはなると思います、難しいことですが。


3.分析について
分析プロセスについては、ほとんど同じと思われます。
実際の作業としては、表に書かれた数値の荒探しをし、なぜ悪いかの原因究明をする演繹法パターン。
ヒアリング調査結果や組織の構造から、共通事項を探して原因究明を考える帰納法パターン。
あえて言うならば論理的な分析をするのが共通点であり、「表の分析や共通事項の探索を行う際に必要な素養」が技術コンサルと経営コンサルの相違点と言えます。


4.課題解決手段
(1)共通点:
究極的には同じになると思われます。「組織、資金、工程の無駄を省く」、「再発防止策を作る」、「新しい事業(新製品)を実施する」などです。
(2)相違点:
特に工業立国日本の場合ですが、「工程の無駄を省く」ことを厳しくお客様が求める傾向にあると思います。
すなわち、技術コンサルは、経営コンサルよりもより厳しく成果をあげることを期待される点が大きな違いと思います。
経営コンサルなら総論的なレポート出して終わりということが多い気もしますし。
また、革新的な課題解決手段が見つかるか否かですが、経営系よりも技術系の方が見つかりやすいと思われます。
以上より、課題解決手段では、技術コンサルは「経営コンサルよりも具体的かつ実効的な提案を期待されている」のが違いと言えます。


ということで、簡単にまとめると、
「アイデアを抽象的に扱う必要があるか」
「将来の望ましい姿にどうのように近づくかのアプローチ方法」
「表の分析や共通事項の探索を行う際にに必要な素養」
「経営コンサルよりも具体的かつ実効的な提案を期待されている」
が違いと考えています。