技術コンサルと経営コンサルとの違い(2) | 技術コンサルティング研究会 BLOG

技術コンサルと経営コンサルとの違い(2)

こんばんは。チャックのエージです。

技術コンサルと経営コンサルの違いを一言で表すと、解決すべき問題が技術的要素であるか、経営的要素であるかということだといえます。これは多くの皆さんの同意を得られるところであると思います。

同様の対比を挙げてみます。まず、MBA(Master of Business Administration)とMOT(Management of Technology)の相違を例に挙げます。MOTは技術系のMBAといわれ、ちょっと前に流行し、専門職大学院がいくつも新設されました。MOTの本*から引用すると、「MBAでは主に既存の事業をベースとして、勝ち抜き成長させるためのプロセスを受け持っているのに対して、MOTでは研究から事業化(技術から商品)まで移行させるプロセスを受け持っている」という違いがあるそうです。

それでは、経営戦略と技術戦略はどうでしょうか。経営戦略は会社全体の舵取りを決めるわけですから、技術戦略は当然ここに含まれることになります。

こうした対比を行ってみると、MBAとMOTは重なる部分があるものの、本質的には異なっていると考えられますし、経営戦略と技術戦略とでは、技術戦略は経営戦略の一部であるといえます。

コンサルティングの場合はどうなのでしょうか。私の考えでは、MBAとMOTの相違に近いと思いますが、もりぞーさんの図よりも少し重なる部分は多い気がします。

どれくらい重なっているかを定量的に表すのは難しいですが、実際に、技術的側面からコンサルテーションを行っていると(私の場合は事例研究にとどまりますが)、おやっ。これは経営コンサルティングの領域だなと思うことはないでしょうか。

このように、そもそも顧客が抱える技術的課題と経営的課題を完全に分けることはできないかと思います。しかしながら、技術コンサルがすべて抱え込む問題ではないですし、もりぞーさんがいう「協働」ということが必要ですが、経営コンサルと技術コンサルがチームでコンサルテーションを行うという例があまりないような気がします。お互い垣根を引きすぎてしまったのでしょうか。

さて、私は、経営コンサルと技術コンサルは重なる部分が多いと考えておりますので、最後に似ている部分を書きたいと思います。それは、やはり手法です。すなわち、問題の抽出→解決→評価のプロセスであるといえます。

ボスコンやマッキンゼーなどの大手戦略系コンサルティングファームでは、企業研究者、博士号取得者、医師などの技術者の登用を積極的に行っています。これは、技術者がこれまで培ってきた問題解決能力は、様々な経営課題を解決するのに役に立つと期待されているからです。

優れた経営者は優れた技術者にはなれませんが、優れた技術者が敏腕経営者になるということはよくあることですし、自分の理想としては、自己研鑽を重ね「経営コンサル+α」を目指したいですね。

* 出川 通 著 最新MOT(技術経営)がよーくわかる本 より引用