水道橋は、谷やくぼ地を渡ったり、起伏の多い複雑な地形に対応するため以外に、もう一つ重要な目的がありました。それは、都市部のできるだけ広い範囲や丘、城壁内にまで配水できるようにするために、水を高い位置に置いておく必要がありました。

 

水道橋は、石の特徴が活かされています。石は圧縮には強いが引張りには弱いため、橋の構造はアーチ状になっています。

アーチ部を縁取る切石は、要石と呼ばれる中央の石から、左右対称に迫石(せりいし)と呼ばれる半円状にした石を順に並べます。上から要石にかかる荷重と要石の自重は、隣接する迫石との接触面で圧縮荷重の分圧になります。このようにして、順次下方へ圧縮荷重を伝えていき、最後にアーチを置く基礎石に前荷重を伝えます。

石の特性を活かしたこのアーチ構造は2500年経った現代でも石造構造物に使われています。