現在、駅や飲食店などの公共施設で、勝手にスマホを充電すると、窃盗罪に問われます。しかし、明治初期のころ、電気は普及していなかったため、電気が盗まれることは想定していませんでした。当時の刑法では「財物(形あるもの)」を盗むことが窃盗罪とみなされていました。

 

1901年に勝手に電線から電気を引いて、無断で電気を使った事件の裁判で、電気は財物かどうかが争点になりました。一審では有罪となりましたが、二審で逆転無罪になりました。理由は、電気は目に見えず、形もなく財物ではないとの判断です。しかし、無断で電気を使われた電力会社は、このままでは事業に致命的な影響を受けてしまうことを懸念し、直ちに上告しました。最終的に最高裁で有罪となりましたが、今までなかった新しい犯罪となりました。

 

この事件をきっかけに、1907年に刑法が改正され、「電気は財物とみなす」とする条文が加えられることとなりました。

 



『参考資料』

https://best-legal.jp/electricity-theft-55121/