その夜は、静かだった。
子どもが寝たあと、
いつもならテレビをつける時間。
でもその日は、
どちらもリモコンに手を伸ばさなかった。
正直、怖かった。
お金のこと。
将来のこと。
俺のこれまでの選択のこと。
逃げてきた話題が、
テーブルの上に全部並んでいた。
「どうするの?」
責める声じゃなかった。
でも、覚悟を試されている気がした。
俺は少し黙ってから言った。
「やる。もう逃げない。」
強い言葉を選んだわけじゃない。
本音だった。
失敗もある。
情けない部分もある。
でも、諦めたくなかった。
そのとき、妻が言った。
「じゃあ、ちゃんと話そう。」
それが、スタートだった。
完璧な未来なんてまだ見えない。
でも、
“本音を隠さない関係”だけは守ろうと思った。
ビジネスも大事。
目標も大事。
でも一番は、
隣にいる人を裏切らないこと。
39歳。
まだ途中。
でも、ひとつだけ分かった。
本音を話せる夜があるなら、
まだ終わってない。