エアコンの修理
日 付 | ハイオク | レギュラー | 軽 油 |
---|---|---|---|
12月13日 | 176円/ℓ | 165円/ℓ | 110円/ℓ |
- もくじ -
今回はエアコンの温度調整が出来なくなったという事で入庫した、トヨタ/ハイエースの点検修理です。
お客様からの話では、エアコンの温度調節が出来なくなっているそうです。
ハイエースのエアコンはオートとマニュアルがありますが、今回お預かりするハイエースはマニュアルエアコンになります。
オートとマニュアルエアコンの違いは、操作パネルからの命令を電気信号として処理するか、物理的に処理するかの違いになりますので、当たり前のように壊れる部分はオートエアコンの方が多くなります。
マニュアルエアコンの場合なら壊れる部分も限られてきますので、比較的原因の究明はし易いといえますが、イコール修理がしやすい訳ではありません。
今回は温度調節ができないという事ですが、おおよその原因は見当がつきますのでその辺りを中心にチェックしていきたいと思います。
という事で、トヨタ/ハイエースのエアコン修理、開始です!
それでは早速原因を究明していきましょう。
まず症状の確認です。
事前のヒヤリングでは温度調節ダイアルが回らないと聞いていますので、まずは其処からチェックしていきましょう。
見たところ、温度調節ダイヤルは設定温度が一番低いところで固まってしまっています。
確かにこの設定では冬場は辛いですね。
一応機械的には回ろうとしているのですが、全く動く気配がありません。
ワイヤーケーブル式のエアコンは、操作に力を入れすぎるとそのまま破損してしまう恐れもあるため、あまり無茶は出来ません。
なので、ケーブルを取り外してからダイヤルを操作してみると、何の抵抗もなくスムースに回る様です。
ダイヤル側がOKという事は、ケーブルのトラブルもしくは、エアコンユニット側でのトラブルということになります。
ケーブル側もスムースに動きますので、残るはエアコンユニットです。
案の定、エアーミックスドアの歯車を手で回してみても殆ど動きませんでした。
今回のトラブルはエアコンユニット内部での部品の固着或いは破損という事になります。
エアーミックスの修理方法は、単純にエアコンユニットを分解して修理することになります。
という事で、今回の修理方針が決まりました!
方法としては、エアコンユニットを分解してエアーミックスが固着している原因を取り除くもしくは部品の交換という事になります。
多少面倒な作業になりますが、地道にやっていきましょう。
それでは修理開始です!
まずはエアコンユニットを車から取り外します。
エアコンユニットの脱着にはダッシュパネルの脱着が必要です。
一応ダッシュパネルを取り外さずにエアコンユニットが取り出せないかチャレンジしてみましたが時間の無駄でした。
まずはエアコン周りのパーツを取り外していきます。
次に、コンピューターのコネクタを片っ端から抜きます。右側に見えている白いパーツがエアコンユニットになります。
ハイエースのユニットは右にエアコンユニット、左側がモーターで風を作り出す動力ユニットになっています。
エアコンユニットにはクーラーガスで冷気を作るエバポレーターとエンジンの冷却液で暖気を作るヒーターコアが入っています。
エアコンユニットの仕事は、夏場はエバポレーター側に風を送って冷たい空気を室内に送り出し、冬場は高温になったヒーターコア側に風を送って暖かい空気を室内に送り出します。
ここに取り付けられているのがエアーミックスドアと呼ばれる装置で、暖気と冷気を混ぜ温度調節する事がエアーミックスの仕事になります。
エアコンユニットを取り出すにはダッシュパネルが邪魔になりますので取り外します。
邪魔になるステアリングも取り外しましょう。
ダッシュパネルが外れました。次はステアリングサポートを取り外します。
ステアリングサポートはワイパーモーター側からもボルト留めされていました。
そのおかげでカウルパネルまで分解する羽目に・・・。
ステアリングサポートを取り外して漸くエアコンユニットとご対面です。
エアコンユニット自体はステアリングサポートと一緒に取り外した方が良かったみたいですね。
何とかエアコンユニットだけ取り外すことが出来ないかと試行錯誤した結果、逆に時間が掛かってしまった本末転倒パターンですね(笑)。
それではエアコンユニットも取り出しできましたので、原因の究明をしていきたいと思います。
それでは原因の究明をしていきたいと思います。
今回のトラブルはエアコンの温度調節ダイヤルが回らないという内容でした。
この写真はユニットを右横から見た状態ですね。写真中央に黒いギアが見えますが、それのした手前側がエアーミックスドアを動かしている歯車です。
トコロガ、全く動かなかった歯車が、この状態にまでバラした段階で正常に回っていました。
正常に回っているからと言ってこのまま組み付けると、後日回らなくなったという事になり兼ねないので、取り合えずユニットを分解してみます。
結果、それらしい固着の理由は見つかりませんでした。
この写真はエアーミックスドアのドアを取り外して撮影したものです。
ドアの素材はそれぞれですが、この車種の場合は透明なフィルム状をしていました。
フィルムといってもクリアファイルよりもう少し厚く、硬さは下敷よりも少し柔らかいようなモノが使われています。
でもこのフィルム、よく見てみると折り目が付いていますね?
恐らく何らかの理由でドアが動かなくなってしまい、無理やり動かそうとダイヤルを回した結果この折り目が付いてしまったと考えられます。
残念ながら肝心なドアの引っ掛かり理由はシステム内に見当たりませんでした。
という事は、今回のトラブルは原因不明という事になります。
エアーミックスドアだけ単品で部品供給してくれるみたいですが、原因不明のまま同じシステムに新しいパーツを組み込むことは、トラブルの再発につながりますので出来ません。
仕方なく、今回はユニットを丸ごと入れ替える事にしました。
右が新ユニット、左が旧ユニットになります。
それでは部品も揃いましたので、車体にインストールしていきましょう。
まずはステアリングサポートにエアコンユニットを組み付けします。
ステアリングサポート単体です。
ダッシュパネル内の配線も一緒になっていますので、そこそこ重量もあります。
エアコンユニットとファンユニットを合体させてから、ステアリングサポートに組み付けます。
こんな感じでしょうか?
この状態になるともう一人では動かせません。今回は3人がかりで車体に乗せました。
ちなみにインストール前の車体側はこんな感じです。スッキリしていますね!
ステアリングサポートが取り付けられるとこんなに車らしくなります。
後は取り外した周辺パーツを組み付けるだけです。
ちなみに、取り外したパーツはこんな感じになっています(笑)。
車体のポテンシャルが如何なく発揮されていますね!
それでは今回のまとめです。
分解されていた周辺パーツも無事組み付けました。
エアコンの温度調節もスムースに動くようになりました!
今回は原因が不明だったためユニットを交換する事になってしまいましたが、主に要因として考えられるのがシステム内部への水分の侵入です。
システム内に水分が侵入してしまうと、場合によっては今回のようにシステム自体の不動の原因となってしまう事があります。
特に外品のエアコン吹き出し口に取り付けるタイプのドリンクホルダーは注意が必要です。
何かの拍子に飲み物がシステム内に侵入する原因になってしまう事も考えられますので、出来るだけ使用は避けた方が良いと思います。
今回の場合は水分の侵入はあまり考えられない状況でしたが、実際にシステムが動かなくなってしまっていた事は事実です。
厄介なことに目に見える原因は発見できませんでしたので、明快な解決策は思い浮かびませんでした。
エアコントラブルの事例を探してみると意外とハイエースのトラブルは見受けられました。
しかし、販売台数が多い車の割には当店では初めての事例となりました。
一昔前に12型のマーチでよくエアーミックスの固着が見られましたが、あの時はシステム内部への水分の侵入が原因でした。
12型マーチのエアーミックスドアは扉式になっていて、ドアの気密性を上げるために張り付けられていたスポンジが固着するこでトラブルになっていましたが、今回のハイエースの場合、エアーミックスドアは樹脂パーツな上、開閉方法はスライド式でした。
明らかに開閉式のドアトラブルを防ぐ方法としてスライド式になっている様でしたが、それでもトラブルになってしまったのは残念です。
マーチの場合はエアコンユニットの横に穴を開け、棒状のもので物理的にドアを強制開放させる略式修理方法を編み出しましたので、最終的にはダッシュパネルを取り外すことは無くなりました。
しかし、ハイエースのようにスライド式ドアの場合は略式での修理方法が思い浮かばないので、万が一トラブルが出た場合、今後も分解整備する必要はありそうです。
あまり見かけないトラブルでしたが、今後発症する件数も多くなってくるかもしれませんね。
という事で、ハイエースのエアコン修理、完了です!
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