タイミングベルトの交換

 日  付    ハイオク    レギュラー   軽   油 
 2月12日 174円/ℓ 163円/ℓ 139円/ℓ
 

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◇ タイミングベルトの交換

今回は今ではすっかり珍しくなってしまったタイミングベルトの交換作業をUPします。

 

ひと昔前は当たり前のように行っていた作業でしたが、現在では殆どの車がタイミングチェーン方式に代わってしまった為、滅多にお目に掛かれない作業になってしまいました。

 

ではタイミングベルトとは何か?というと、4ストロークエンジンの頭と体の動くタイミングを計っている部品です。

 

ベルトという名の通り、ゴム製品です。

 

このベルトは定期交換が必要なベルトで、凡そ10万キロに一回、若しくは10年に一回程度交換が必要になる部品です。

 

凡そ10万キロという表現にしたのは、必ず10万キロに一度交換するわけでも無く、必要なら5万キロしか走行していなくても交換しますし、はたまた、気が付いたら13万キロ無交換で走っていた!なんてこともあります。

 

一応目安として定められている交換距離が10万キロというだけで、例えば1万キロしか走行していなくてもオイルシールからのオイル漏れが発覚した場合はタイミングベルトも一緒に交換してしまいます。

 

現在の車はゴム製のベルトの代わりに金属チェーンが使用されていますので、10万キロに一回の交換縛りが無くなりました。

 

金属製のタイミングチェーンは、オイル管理さえしっかり出来ていれば20万キロでも30万キロでも使用できますが、オイル管理が出来ていないと流石の金属チェーンもダメになってしまいます。

 

タイミングチェーンの交換費用はタイミングベルト交換の倍以上の金額になってしまうので、もしチェーンが伸びて使えなくなった場合はそのまま車を乗り換える事になってしまう可能性もあります。

 

おっと、話が逸れ出しましたので戻りましょう。

 

それでは、スズキ/ワゴンRのタイミングベルト交換作業、開始です!

 

 


◇ 作業開始

それでは作業開始です。

 

まずはタイミングベルトを交換するうえで、邪魔になるパーツを取り外していきましょう。

今回のワゴンRはMC11型で、ワゴンRシリーズの中で最後のタイミングベルト車輌です。

 

ちなみに見た目は同じでもMC22型になるとタイミングチェーンに変更された筈です。

 

作業はトニカク分解するところからです。

 

まずは写真に見えるパイプ関係を取り外し、エンタークーラーも撤去します。

 

インタークーラーが付いていると言う事はこの車輛はターボ車と言う事になりますが、タービンがあるだけでひと手間増えてしまいます。

 

タイミングベルトはエンジンの隣に取り付けられていますが、それ自体はカバーで覆われていますので目視して点検出来ません。

 

点検するだけでも相当分解する事になりますので、基本的に点検=交換と言う形になります。

エンジンの上にレイアウトされているパーツをすべて取り外し、タイミングカバーを取り外す事で漸くタイミングベルトが目視で確認できます。

 

このベルトは歯車の様な構造になっていて、カムシャフトとクランクシャフトを繋いでいます。

 

クランクシャフトが2回転する間にカムシャフトが1回転するよう歯車の数が2:1になっていて、その歯車同士をタイミングベルトで回しているイメージですね。

 

車種によっては一緒にウォーターポンプも回している事もありますが、この車種はウォーターポンプを回しているのはファンベルトです。

 

タイミングベルト交換時に同時交換を推奨する部品がウォーターポンプとオイルシールです。

 

この二つはタイミングベルトを取り外さなければ交換できない部品なので、タイミングベルトだけを交換してしまうと後日オイル漏れやクーラント漏れが発生した場合に同じ作業をもう一度しなくてはならなくなってしまいます。

 

それを防ぐ為にも同時交換が推奨されます。

 

冒頭にも触れましたが、タイミングベルトを交換する理由として、一つ目は走行距離もしくは経過年数。

 

もう一つは、オイルシールからオイル漏れが発生した場合とウォーターポンプからクーラント漏れが発生した場合は、タイミングベルトを取り外さなければ交換修理できないため、この3点は基本的に同時交換します。

 

と言う事でオイルシールとウォーターポンプも交換してしまいましょう。

 

まずはオイルシールです。

タイミングベルトを取り外し、カムとクランクのプーリーを取り外すとオイルシールが確認できます。

コレはカムシールかな?左が旧シール、右が新シールです。

 

少しオイルが滲んでいたようで、シールがオイルで湿ったように見えます。

コチラはクランクシールだと思います。同じく左が旧シール、右が新シールです。

カムシャフトに新しいシールを取り付けて・・・

クランク側も新シールを取り付けます。

 

この時にエンジンの汚れもある程度洗い流してから作業します。

 

次にウォーターポンプも交換しましょう。

 

 


◇ ウォーターポンプの交換

ウォーターポンプはそのままの意味で、水のポンプです。

 

この場合は水では無く、ラジエタークーラントをエンジン内からラジエターへ回す役目をしています。

左が新ポンプ、右が旧ポンプですね。

 

水漏れはまだ起こしていませんが、いずれ経年劣化等でほぼ確実に漏れを起こすパーツなので交換してしまいます。

 

この年式の車は紙パッキンを使用しているので、エンジン側も掃除しなければ取り付ける事ができません。

このようにエンジン側に古い紙パッキンが残ったまま新しいパーツを組み付けると水漏れの原因になりますので、キレイに除去してしまいましょう。

はい、こんな感じで良いでしょう。

 

少し凹凸が出来てしまっていたので、液体ガスケットと紙パッキンを併用してレベリングします。

はい、取付完了しました。

 

ここまでくれば折り返しです。

 

後は逆の手順でタイミングベルトと周辺パーツを組み上げれば完成です!

最後にラジエターに新しいクーラントを入れてエア抜きをします。

はい、無事作業終了しました!

 

久しぶり整備士らしい仕事が出来て楽しかったです!

 

 


◇ まとめ

それでは今回のまとめです。

 

今回は車検でお預かりしたお車のメンテナンスでした。

 

タイミングベルトも交換し、車検も無事終わりましたのでまだまだ現役で頑張ってもらいたいですね!

 

余談ですが、車検時にリアブレーキに違和感があったので、リアブレーキのホイールシリンダーを確認してみました。

すると・・・左ホールシリンダーの2個あるピストンの内一つが錆で固着していました。

 

テスターでブレーキを計測した時、数値の上がり方で左右差があったので違和感があったのですが、見事に錆びついていました。

 

こうなるといつオイル漏れを起こすか解らないので、当然交換です。

今回はホイールシリンダASSYで交換です。右が新シリンダ、左が旧シリンダです。

 

旧シリンダの中も錆が回っていましたので、シールの交換だけでは無理そうでした。

基本的に車検毎にブレーキオイルを交換していても、このように末端のパーツが水分の影響を受ける場合がありますので、ブレーキパーツも定期的にオーバーホールが必要だと言う事ですね。

 

と言う事で、車検でお預かりしたスズキ/ワゴンRのタイミングベルト交換と、オマケでホイールシリンダーの交換作業、終了です!