エアコントラブル
日 付 | ハイオク | レギュラー | 軽 油 |
---|---|---|---|
8月5日 | 174円/ℓ | 163円/ℓ | 143円/ℓ |
- もくじ -
今回はエアコンのトラブルです。
この時期、一番困る車のトラブルと言えば、ナンバーワンはエアコンの故障でしょう。
1日の最高気温が人間の体温ほどにまでなってしまう季節なので、直射日光を浴びた車の車内温度はとんでもない事になっていたりする時期です。
そんな時に車のエアコンが効かなくなってしまうのはとても困りますよね!
当店でも毎年何台かは暑い時期のエアコンのトラブルが舞い込んできますが、今年もそんな季節になりました。
今回は、突然車のエアコンが冷えなくなったと言う事でお預かりしたスズキ/スイフトのエアコンメンテナンスです。
この季節のエアコントラブルのパターンは、大分類で「冷えが悪い」と「急に冷えなくなった」に分かれます。
冷えが悪い場合はエアコンガスのクリーニングで改善する事もありますが、突然冷えなくなるケースは単純にガスクリーニングやガス補充では対応できない事が多いと言えます。
今回のトラブルも後者で、良く冷えていたエアコンが突然効かなくなったパターンになります。
急に冷えなくなるケースの原因は多岐に渡りますので、可能な限り原因を追究して修理したいと思います。
それでは、スズキ/スイフトのエアコンメンテナンス、開始です!
という事で、まずはヒアリングから実施です。
お客様からのヒヤリングは、車のトラブルを調べる上でとても重要なモノになるので、出来るだけ詳しく聞き取りを行います。
ヒヤリングの結果
①朝は普通に良く冷えていた。
②徐々に冷えなくなったのではなく、突然冷えなくなった。
③異常な音や振動は無かった。
④過去にそんなトラブルは無かった。
オーナー様は男性で、このような情報が得られました。
今回のヒヤリングで解った事は、コンプレッサーの焼き付きやクーリングファンのトラブルの可能性はひとまず考えなくて良さそうですが、ガス漏れの可能性も無さそうなイメージです。
そうなると電気系異常の可能性がありますが、ガスの量を点検する事も必要になりますので、一旦クーラーガスチェンジャーを車に接続してガス量を見てみます。
すると・・・コンプレッサーからコンデンサーに行く高圧配管にガス漏れらしき痕跡を発見しました。
写真一番手前のホースが高圧ホースです。
ホース付け根にガス漏れ跡が確認できます。
エンジンを始動してエアコンスイッチを入れてみてもコンプレッサーが反応しないので、ガス漏れによるシステム内の圧力不足がトラブルを引き起こしている可能性が出てきました。
このガス漏れの発覚で、ほぼ全てのエアコントラブルを今すぐ改善させることが出来なくなってしまいましたので、一旦お客様に判断を仰ぐことにします。
問題点は、この日は金曜日のお昼過ぎだったので、部品を発注しても最短で週明けの月曜か火曜になる事。
次に、ガス漏れによりコンプレッサーを起動させる為に最低限必要な圧力を確保できていない可能性がある事。
この場合、仮にガスを入れても直後に全部抜ける可能性があるため、お金を捨てる事になる可能性が高くなる事。
最後に、地元のお客様では無く、初めて来店される遠方にお住いのお客様だった事。
これらの理由でお客様には地元で修理をする事をオススメしましたが、修理先に心当たりが無いと言う事だったので当店で修理する事に。
代車があれば良かったのですが突然の事で対応が出来ず、暑い中走ってきてもらう事は忍びないのですが、お客様には部品入荷後に連絡する旨をお伝えし、一旦帰宅して頂きます。
さて、部品も届きましたのでお客様に連絡し、車を入庫して頂きました。
部品の交換時間は1時間もあれば完了しますが、念のため少し多めに時間を頂きます。
それでは修理開始です。
まずは残ガスを抜いてから古いパーツを取外します。
はい、取れました。
手前が旧パーツで奥が新パーツです。
旧パーツは右の金属部分とゴムホースの境目からガスが漏れていた様で、この部分がコンプレッサーオイルで汚れてしまっています。
この通り。
しかし、この時点で新たな問題が発覚しました。
実は想像していたよりシステム内の残存ガスが多かったのです。
スイフトの場合、全量で350g程度のガスの内、コンプレッサーを動かすのに最低限必要なガス量は100gも必要ありません。
しかし、ホース交換のために抜き取ったガス量が80g近くあったのです。
この量があれば基本的にコンプレッサーは駆動するはずですし、少なからずとも冷えた風らしきものが吹き出し口で確認出来る筈です。
嫌な予感が頭を過りますが、取り敢えず新しいホースを取り付けてガスを補充しないと冷え確認する事が出来ませんので、急ぎ組み立てます。
はい、新しいホースが組みあがりました。
交換時間はバンパーを外せば1時間、外さなければ10分です。
今回はバンパーを浮かせて隙間から交換しました。
コンデンサー側はバンパーの脱着が必要になる事もあります。
あとは既定のガス量を補充すれば完成。
コンプレッサーオイルにガスが20gほど入っているので、補充設定の370gから差し引いて330gに合せます。
少なめに設定するのは規定値内での冷え具合の強弱が発生するので、後で補充調整するための余裕を持たせている為です。
さぁ!全ての作業が完了したので、早速エンジンを始動して冷え具合を確認してみましょう!
という事でエンジン始動。
結論は案の定冷えません。(滝汗)
まぁ、途中から嫌な予感はしていましたが、こんなものです。
という事で気を取り直して原因究明をしていきます。
この時点で確認できる症状はコンプレッサーが回っていないと言う事。
コンプレッサーが回らない理由。
①ガス圧の異常(多くても少なくてもダメ)
②電源の未供給
③コンプレッサー自体の不具合
④その他もろm・・・
コンプレッサー不動の原因はもう考えるのも面倒になるほど挙げられますので、途中から考えるのを辞めます。
という事で、まずは電源の確認をします。
コンプレッサーに配線が1本きていますので、そこに12vが来ているかをチェック。
結果→NG
となると、次に調べるのはコンプレッサーリレー。
ヒューズボックスからリレーを見つけ、リレーの動作確認。
結果→OK
続いてリレーの電源確認。
スイッチ側→Ok
電源側→NG
という事はリレーは生きていて、エアコンスイッチを入れるとリレーの動作はする状態で、且つリレー作動時の導通も確認できたが、肝心なバッテリーからの電源が来ていない事が判明。
ヒューズボックス内にそれに付随する箇所が無いか確認していきます。
関係のありそうなリレーは全部問題無いのでヒューズを確認していると・・・ありました。
1個だけ切れているヒューズを発見。
上の写真で一番手前の中央にある赤いヒューズが切れていて、このヒューズを交換するとコンプレッサーへの電源が回復しました。
これで漸く冷えのチェックをする事が出来るようになり、一応お客様からの依頼であった冷えなくなったエアコンの修理は完了しました。
とは言え問題はまだ残っています。
一応エアコンは効くようになり、吹き出し口温度も11℃程度まで下がるようにはなりましたが、肝心なヒューズが切れた原因が解りません。
基本的に車のヒューズが切れる事はありません。
ヒューズ切れの主な原因は短絡による切れが多いですが、今回お預かりしたスイフトで短絡箇所を確認する事は出来ませんでした。
配線の短絡は色々な要因で起こる事がありますが、その場合は短絡箇所の修理を行わなければ何度でもヒューズが切れてしまいます。
しかしどれだけ探しても短絡箇所を見つける事が出来ませんでしたし、チェック中再びヒューズが切れる事はありませんでした。
お客様には事の経緯を説明して、再び冷えなくなった時は再来店して頂くようお伝えし、念のため冷えなくなった時にヒューズをチェックしてもらうようお願いして納車となりました。
それでは今回のまとめです。
今回は何とも締まりの悪い結果になってしまいました。
修理してから10日ほど経過しましたが、今の所お客様からエアコンが冷えなくなったとの連絡はありません。
一応経過観察をして頂いているので、再びヒューズが切れた場合は再入庫して頂くようお願いしています。
このまま問題が無ければそれで良し、問題が再現するようなら最悪ハーネス交換も視野に入れなければなりません。
何れにせよ、たった一度のヒューズ切れでハーネス交換をオススメする事は出来ませんので、当面は様子見となります。
という事でスズキ/スイフトのエアコン修理、完了です!
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