日  付    ハイオク    レギュラー   軽   油 
 12月28日 176円/ℓ 165円/ℓ 143円/ℓ
 

- もくじ -

 

 


◇ タイヤ付け替えの際に発覚しました

毎年の事ですが、ガソリン屋の年末はタイヤの付け替え作業が多いです。

 

特に今年は早くから寒くなると言われていて、例年取り付けはしないけれど、今回は手持ちのスタッドレスタイヤを車に装着しておこうと考える方も沢山居ました。

 

そんな中、滅多に無い事も起きる場合があり、今回はそんなトラブルのお話なのでUPしてみたいと思います。

 

先日タイヤの付け替えにご来店頂いたお客様のホイール脱着作業中に、事件は起きました!

 

現在取り付けられている夏タイヤを取り外そうとした時、左前輪のハブナットの中にどうしても緩まないナットが1本ありました。

 

全く回らない訳では無く約0.5回転した所で止まってしまい、そこから前にも後ろにも進まなくなってしまったのです!

 

今までの経験上、こうなってしまうとハブナットは緩みません。

 

修理の方法としては旧ハブボルトを折ってから新しいボルトに入れ替える事になります。

 

このトラブルで考えられる原因は大きく分けて2つです。

 

1 不適切なトルクでナットを締め付けた場合(トルク管理しなかった場合を含む)。

 

2 度重なる脱着でボルト又はナット、或いはその両方にダメージが蓄積されて固着してしまう場合。

 

この2つです。

 

因みに、今回お預かりしたレヴォーグは当店で車検を実施し、前回のスタッドレスタイヤの脱着も当店で実施しています。

 

当店では全ての車でタイヤの着脱時は必ずトルクレンチを使用してトルク管理を行っていますので、締め過ぎによる固着は考えにくいのですが、過去の取り扱いが当店である以上、当店で責任を持って修理させて頂きます。

 

という事でスバル/レヴォーグのハブボルト交換作業、開始です。

 

 


◇ 全てチェックして

交換するにあたり、念のため全てのホイールナットとボルトの状態を確認します。

 

通常は折れたボルトとナットの交換作業で終了なのですが、このお客様のお車は過去に当店でタイヤの着脱をした際に1本のボルトナットが固着して緩まなくなったため交換したという経緯があります。

 

その時は左の後輪でしたが、今回緩まなくなったのは左前輪の1本だけ。

 

他のタイヤのホイールナットは緩みましたが、回り方にスムースな感じはせず、取り外したナットの半数に鉄の切り屑のような金属粉が付着していました。

 

という事は、ココで中途半端に折れてしまったボルトナットだけの交換作業をしたとしても、次回の着脱時に三度ナットが緩まなくなってしまう事案が発生してしまうと全く意味がありません。

 

そうなったら今後このお客様からの信頼回復はあり得なくなってしまいます。

 

という事で費用全額当店持ちで全てのボルトナットを交換する事にしました。

 

部品の発注もありますので、一旦夏タイヤを取り付けてお返しし、部品の入荷に合せて再来店して頂きます。

 

レヴォーグのホイールナット締め付けトルクは120N・mですが、念のため緩めの90N・mで締め付けします。

 

全てのタイヤの取り付けトルクを90N・mにしましたので、次の来店時に追加でナットの固着は発生しないと思いますが、念のためこうしました。

 

 


◇ 部品の交換です

という事で部品が入荷しましたのでお車をお預かりし、交換していきます。

 

ココで問題発生です。

 

部品の交換には最低条件としてホイールの取外しが必要です。

 

しかし、ハブナットは完全に固着し、まるで溶接したかのように動きません。

 

なので故意にボルトを折らなければならないのです。

 

という事でボルトを折ります。

 

ハブボルトを折る方法は実に簡単です。

 

「無理矢理回す」だけです。

 

ただ、無策で回してしまうと、最悪の場合空回りしてしまうので、ココは慎重に。

 

一番マズイのは機械工具で回してしまう事です。

 

確かに機械工具で回せば強い力が掛ける事ができますが、あくまで瞬間的な力になってしまい、最終的にハブに固定されているボルトが空回りしてしまいます。

 

結果的には手で回すのが一番折れやすいです。

 

緩める方向に回してさらに力を掛けるとポキリと簡単に折れます。

この通り。

 

見えるでしょうか?元々壊れたボルトナットは1本だけでしたが、結果的には2本緩まなくなってしまいました。

 

締め付けトルクは90N・mでしたので基本的には締め付け過ぎによるネジ山の潰れは考えにくいです。

 

という事は、ダメージが蓄積されたボルトナットを使用すると、結果的にこのような状態になってしまうという事でしょうか。

 

元々全ての部品を交換するつもりだったので何本緩まなくなっても問題はありませんが、こんなに簡単に噛みこんでロックしてしまうとは・・・

 

しかし、それも今回で終わりです!

 

なにせ全てのボルトナットを交換する訳ですからね!

 

という事で作業開始です。

 

まずは古いハブから古いボルトを抜き取ります。

この車は着脱スペースが広いので抜くのも入れるのも簡単です。

 

ハンマーで古いボルトを叩いて抜いて、新しいボルトを入れるだけでOK。

完了です。

 

注意点は一度に全部ボルトを抜いてしまうとハブが回転してしまうのを押さえる事が出来なくなるので、1本づつ作業します。

 

リアのボルトも簡単に抜けるようになっていましたので助かりました。

ボルトトップに付いているピンクのマーカーは交換済みの印です。

 

工賃表では1本交換で1時間、追加1本毎に6分プラスとなっていましたので、1輪当りの交換時間は1時間24分が目安となります。

 

工賃表の作業時間はあくまで目安です。

 

今回は全輪交換で1時間程で完了できました。

 

 


◇ まとめ

それでは今回のまとめです。

 

今回の事の発端は、前回の着脱時にボルトが怪しいと思っていたのにお客様にちゃんと説明をしなかった事です。

 

怪しいと思ったらその時点でお客様にも確認してもらい、情報を共有しておけば今回のように年末に慌てる事もなく、事前に作業をする事が出来た筈です。

 

結果的に部品も間に合ったので良かったですが、もし、部品の供給先が休みになっていたら年始まで車が使用できない状況になっていたかも知れません。

 

今回の事を教訓に、「怪しい箇所はお客様に報告」を徹底したいと思います。

 

それと、今回のようなトラブルを防ぐ手段はなかなか難しいですが、予防策として挙げられるのがナットの交換です。

 

ホイール取付ナットは通常夏タイヤ用と冬タイヤ用に分けます。

 

理由は夏タイヤは純正ホイール、冬タイヤは車外ホイールを使用している事が多いからですが、当店でも初めて冬タイヤを購入されるお客様にはアルミホイールセットでの販売をおススメしています。

 

なので冬タイヤ装着時には専用のナットを用意しています。

 

しかし、今回のお客様は冬タイヤ、夏タイヤ共に純正ホイールを使用されているので、ナットの付け替えはせず常に同じナットをそのまま使用していました。

 

それが全ての原因とまでは言いませんが、度重なる取外しと取付がボルトを傷めてしまうキッカケになっている事は間違いないと思います。

 

今回のようにボルトナットが傷んでしまっている場合、たとえ締め付けトルクを緩く設定しても結果的に噛みこんで回らなくなったボルトナットが新たに確認できました。

 

今までは何故締め付けが出来ているナットが後日緩まなくなるのか?という問題に対して、ボルトナットの経年劣化や使用限度を超えた事によってナットが固着するという理論はあくまでも想像上の事でしかありませんでした。

 

それが今回現物で確認できたことは、弁償した部品代を大きく上回る勉強をしたと言えます。

 

結果的に大きな知識を得る事が出来たのは今回の作業を受けたお陰ですね!

 

という事でスバル/レヴォーグのホイールボルト、ナット交換作業、完了です!

 

 


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