週末の三連休がやってきた。
本当に不思議な話だが、私が休みになってコダマは一気に衰弱した。
そして壊れて取り換えを頼んでいるエアコンが急に復活した。
部屋が暖かくなった。
週の中ごろ、コダマの口元に小さな水の器を近づけたらビッチャビッチャ飲み、私は狂喜乱舞したがもう水も飲まない。

コダマは1日の大半を押し入れの中で横になって過ごしていた。
寝ているわけではなく眼は開けている。
時々ヨロヨロと押し入れから出てくるが、それは苦しい時なんだと分かった。
倒れた状態で床や敷き物に前足の爪を立ててバリバリする。
小さなケイレンだ。
私は近くで見守るしかない。
コダマはケイレンの時におしっこも出てしまう。
もう手助けをしないとトイレまで歩けなくなり、私は「あんよは上手♪」と言いながら歩くのを手伝った。
抱きかかえて行くことはしなかった。
コダマが嫌がりそうだったから。
あえてコダマの画像を載せるが、コダマの弱り方は大金をかけて獣医に通い、ステロイド漬けにしてしまったプーの弱り方とは明らかに違っていた。
ボロボロになっていない。
死に向かってがんばっているコダマ。
死ぬのも楽じゃないよ、本当に。

三連休3日目の朝、私が目を覚ますとコダマが頭の横に居た。
高さのあるマットレスを登ってよく移動できたもんだと嬉しかったが、最後だから?とも思った。
その日コダマは台所、居間、寝室と部屋中の好きだった場所を点検確認し、何度も倒れてケイレンを起こした。
「うーん、うーん、うーん」と苦しそうな小さなうなり声を出す。
それを聞くのはたまらなかった。

夕方、私は早めの食事をしていた。
コダマが押し入れから30秒おきに鳴いて私を呼ぶ。
私はその度に箸を置いてコダマを見に行き、ナデナデした。
8回目ぐらいだったかな?
コダマが激しく唸りながら押し入れから出てきた。
大きなケイレンが来たのだ。
あわてて抱きかかえて押入れに戻し、つっぱらかるコダマをナデナデしていたら、コダマは大きく「ウー!」と唸った。
私はコダマの前足を握った。
コダマは頭をそり返し、ビーン!という衝撃の後、四肢をつっぱらせた体勢でストップモー 
ションになった。 
耳をコダマの胸に押し当て心臓の音を確かめると、何も聞こえなかった。


私は「うわあぁぁぁーっ!」と号泣した。
アパート中がシーンとしたように思った。