藤沢数希氏の「外資系金融の終わり」 という本を読んでみた。氏は、トレーダーとして金融業界の中枢で仕事をして来た経験から、リーマンショックを産んだ投資銀行に代表される金融業界の矛盾を鋭く抉っている。

特に、資本主義とは、リスクをとって儲けるものであり、逆に失敗するとリスクに見合った損をするものであるはずというのが、まったくその通りだと思う。ところが、現在の大手金融機関は、Too Big To Failと言われ、失敗しても政府の公的保証により決してつぶれることがないというのは、リーマンショック後の世界の金融界を見ると明白である。(リーマン以後大手は合併などするがつぶれてはいない。)よって、金融業界は資本主義の基本原理が適用されない歪な業界であり、モラルハザードが起きていると言う訳だ。

リーマンショックを起こしたMBSやCDOの仕組みは既に色々なところで解説があるが、改めて、CDOを切り刻んで別のCDOを作っていくことで、いつの間にかトリプルAの格付けが付くという不思議なことが起こっていたというのには改めて驚かされる。似たことがEUROにも言えるのだという。財政的に二流の国がEUROに入ることで財政的に一流のように見えてそれらの国の金利が下がるというマジックが起きている。

途中の様々な著者自身やこの業界人のエピソードでは、2000万円くらいの年収を貧乏人と言い放つなど、更なる下層の人間としてはかなり辟易としてしまうものがあるが、大変するどい観察・説明を至る所に見ることができる。

この本を読むと、このデリバティブ金融経済は持続可能だとはとても思えなくなる。リスク資産にお金をつぎ込まなかった日本の老人世代(日本国債か普通預金に預けていた)のパフォーマンスが一番良かったというのは、なんとも皮肉な話である。
外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々/藤沢 数希
¥1,680
Amazon.co.jp