インストラクターが語る2010の『ICE』と『DUKE』 | TEARSからお届け!!

インストラクターが語る2010の『ICE』と『DUKE』

ヘビーユーザー座談会 第1回

インストラクターが語る2010の『ICE』と『DUKE


 多くのユーザーはセイルについて評価を下す時、純粋に性能が気に入って選ぶ場合ももちろんあるが、そのブランドに対して何となく持っているイメージや先入観で判断するというケースもたくさんある。また、そのイメージや先入観の根拠も過去の一瞬のインプレッションだったり、周囲の評判やとりまく環境、マスコミ等の露出・ライダーの顔触れやその活躍によるものだったりする。 さらに、セイルのメカニズムや各部の機能と性能の関係を熟知した上で、そのセイルを評価し、使いこなすというケースはかなりレアなケースと言えるだろう。

 こうしてみるとセイルに対する評価というのは、理詰めで正確に突き詰めた結果というよりも、かなりイメージや感覚に支配されていると言えるだろう。そういうことを踏まえて、最新のノースセイルの実像を、長年愛用していて、かつ最新モデルも乗り込んでいるへビーユーザーであり、他のブランドのセイルに乗る機会も多いインストラクターに、語ってもらう事にした。第1回目はウェイブ系セイル『ICE』と『DUKE』について。


一つのセイルを3種類ぐらいに“化かして”使える


―今日は、最近乗り込んでいる2010のウェイブ系セイルの特徴とノースセイルというブランドそのものの特徴を語ってもらいたいと思い、集まっていただきました。

インストラクターT氏(以下Tぼくは今、ICEDUKEを使っています。ニューモデルは完成度がスゴく高いですね。ニールやガストラも使っているし、それはそれでいいところがあると思うし、自分がノースに慣れているということもあるけど、それを差し引いても、良いセイルだと思います。何がいいんだと言われると、性能を具体的に言うのは難しいですが、まず言えることは「ノースは使えば使うほど味が出てくる」というところが素晴らしいですね。セッティングを詰めていくとどんどん良くなるし、新鮮な発見がある。詰めがいがあるセイルということです。

インストラクターY氏(以下Yそうですよね。ノースは全体的にそうですね。普通の人はセッティングを詰めるという地道な作業は、あまりやらないと思いますが、ノースのセイルはさまざまな目安やテクノロジーが施されているので、とてもやりやすくて、セッティングを変えたことによる違いもわかりやすいから、そういうことに慣れていない人でもできますね。

T最新の『ICE』で言えば、セイルエリアの選択に悩まなくていいということですね。普通に張ってもピーキーではなく、バランスもいいし、オーバー、アンダーともにそれぞれ粘るのですが、例えば4.7で乗っていてちょっと風が上がったかなと思ったら、小さくするときは悩まないですぐに4.0に切り替えるということができるということです。普通はその4.7のダウンを引いてとりあえずオーバーに対応するようにするかとか、小さくしたいけどスカるかもしれないとか、このまま本当に風が上がってくるのかななんて悩みますが、新しい『ICE』はアンダーでも走るようにチューニングすることが可能だから、すぐに切り替えることができるんです。そうした方が小さいサイズのハンドリングの良さを利用できるし、もし風が上がってきても対応できますから。逆に大きくする時、ちょっと風が落ちて、ジャストアンダーっぽくなってきたときは、セイルエリアを変えないで、走るようにチューニングすることによって、それがカバーできてしまうんです。

Y確かに一つのセイルを3種類ぐらいに化かして使えるセイルですね。パワフルにアンダーで走るセイル、ジャストの時にいいバランスで走るセイル、パワーをちょっと抑えて軽快にコントロールできるセイルというぐあいに、3つのタイプのセイルにチューニングで仕上げることができますね。

T早めのエリアチェンジで結局、そのコンディションに合った“ツボ”にはまったセイルエリアで長く乗ることができるのが最新の『ICE』の大きな魅力と言えると思います。


チューニングの概念を変えた"TWIN TRIM CLEW 

 それと、最新モデルに装備されている“TWIN TRIM CLEW”は、その効果を知るととても使えるシステムですね。クリューに2つグロメットがついているわけですが、それを使いこなしていくと、本当にチューニングの幅が広がると同時に楽です。極端な話、ダウンはMAXまで引いておいて、あとはすべてこの“TWIN TRIM CLEW”とアウトのテンションだけでチューニングが可能という感じです。

Y他のブランドもクリューのグロメットがタテに2個ついているセイルもありますが、それは単に高さを変える意味合いだと思うのですが、ノースの場合は上は少し内側についていて、高さだけでなくリーチアクションをコントロールする意味合いもありますし、ブーム長も変わってくる。だからそれにアウトのテンション具合を組み合わせると、実に多様にチューニングができるというわけです。

T基本的にはアンダーになったら上のグロメットを使います。

Yボクもそうですね。パワーが欲しいときとか

Tそれでジャストやオーバーのときは下ですね。ノースの場合は絶対に利用した方がいいことは確実。

Y一般のお客様に教えると“全然違います”と言いますよ。

Tブーム長を合わせるときはどちらで合わせますか?ボクは下で合わせますが?

Yボクはとりあえず上です。

T普通は片方しか使わない人がほとんどだと思うけど、この“TWIN TRIM CLEW”はチューニングの幅をさらに広くしていて、良いおまけがついた感じがしますね。このおかげで早めのエリアチェンジができるし、アウトだけのチューニングで事が済むわけです。『DUKE』にも“TWIN TRIM CLEW”がついていますが、同じように幅広くチューンできますよ。

YICE』の乗り味としてはノース伝統のドラフトが安定したカチッとしたウェイブセイルですね。ただ固いというわけではなくて、しなやかな中に芯はあるといった感じの。

Tそうですね。昔のノースのウェイブセイルのようにパワー全開というわけではなくて。そういうパワーが欲しいときはチューニングすればいい。

Yボクはフラット気味な海面で乗る事が多いし、お客さんもウェイブでも真っ直ぐ走る人が多いですから、このかちっとしたテイストは歓迎されているし、基本となる“走り”がいいんですよ。『ICE』の5.3と『DUKE』の5.9はとても人気ですね。

TDUKE』の6.4は少しソフトになったかな。

YマストがSDMから、今年はRDMになったからでしょう。しなやかになってしなりのあとの反発がいいから、走り出しがとてもいいです。今まで5回パンピングして走らしていたのが、今年のは3回で走るから。ジャイブの入りもしなりの反発がいいから伸びていきます。

Tそれは『ICE』のターンのときも感じますね。ボトムターンがいい感じで伸びていきます。

YRDMマストのクォリティの高さも現れていると思います。


<以下次の更新に続きます>


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