あり得ない状況に思考が停止し

理解するのに時間がかかった



何故彼が‥???

夜中なのにオートロックを抜け

玄関の鍵‥?

元彼に水を入れて貰ったまま

玄関の鍵を閉めずにいたのだ



勝手に家に入ってきた知らない男に

元彼も臨戦体制、修羅場と化した

彼はかなり動揺したのか

・別れてるし関係ないが

(関係ないなら何故家に来る)

・彼女がいるのに電話かけてきて迷惑

(連絡くるのはほぼ彼から)

・お金の貸し借りがある

(お金は全て返済済み)

彼は自分を正当化する嘘を元彼に並べる



元彼は男同士、表で話をしようと

2人で外に出てしまった



まさか勝手に家に来るなんて

私は元彼を巻き込んでしまった罪悪感で

胸がいっぱいだった



しばらくすると戻ってきたのは

元彼ではなく彼だった



興奮状態の彼は

「俺の部屋でよくそんなことが出来る」

「頭を冷やせ」と水をかけられ

思いっきり太ももを蹴られた



物に当たることはあっても

暴力は初めてだった

彼も相当のショックを受けたのは

百も承知だったが

力でねじ伏せられることに私も反発する



「今日は卒業式だと伝えた

これだけ散々、傷つけて最低

とにかく忘れたくて

元彼に抱かれたら忘れられると思った

1ミリも後悔なんてしてない」

私は一歩も引くつもりはなかった

自分の思っていること全て彼にぶつける



自分は好き勝手して

なぜ私はダメなのか

私がしつこい?

彼女がいながら嘘をつき

自分のことを正当化する‥

人として許せなかった



彼の言うように

別れてるのだから

なぜ家まで押しかけられ

なぜ傷つけられるのか

私も自由ではないか‥



感情が爆発して止まらなかった



水をかけられたマグカップを取られ

その拍子に私の口に当たる

唇から血が滲む



彼から苦し紛れに出たのは

またお金の話だった

「建て替えてた弁護士のお金返せ」

後出しジャンケンの様なお金の話し‥

この後に及んでまだ言うか‥

私の怒りは頂点に達した






どこまで最低なのか‥

お金でしか繋ぎ止められない

彼の弱さだった



私達の喧嘩はいつもそう

離れては戻り、またぶつかり

その繰り返し‥



私と居ると彼はダメになる

お互いのためにも今日で終止符を打つ



持っていたお金を投げつけ

「もうこれで終わりにしよう」



お互い携帯の番号を消去し

ラインもブロックしたのち削除した



「ドア閉めたら絶対泣くでしょ?」

抱き寄せようとする彼を

「やめて。早く出ていって。さようなら」

玄関のドアの外に追い出した



最愛のツイン彼

さようなら



獅子は我が子を千尋の谷に落とす



鍵を閉めた途端

これで本当に終わったんだ

これでいいんだと

自分に言い聞かせた

涙が溢れて止まらなかった



足は真っ青に腫れ

前歯が欠けていた



でもそんな身体の傷より

心の傷の方が何倍も痛かった