- めぐらし屋 (新潮文庫)/新潮社
- ¥420
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久しぶりに本の紹介でも。
だいぶ前に手にした本でしたが、なかなか読み終えることができずにいました。
ちょっと退屈で、静か過ぎて、秋の夜長に読むにはいいのかもしれませんが
休日にさっと読むには、なかなか苦労してしまいました。
ページ数で言えばそれほど長くない、といいますか短いお話ではあったのですが・・・
堀江さんの作品は以前、雪沼とその周辺
を読ませていただいて、好きな雰囲気の作品だったので、と思いこちらも読んでみました。
堀江さんらしい静かで、細かな描写は非常に楽しめたのですが、雪沼と・・・に比べると
ガツンとしたものがなく、それが狙いの話にしてはちょっと盛り上げてみようかと思わせる部分があったりして・・・
ちょっと消化不良な感じがしてなりませんでした。
ただ、先に言いましたように、細かい描写は読み手の想像力をかきたててくれ
なるほどと共感してみたりもして、蕗子さん(主人公)の話をとなりで聞いているかのようです。
この蕗子さん、なかなかな存在で(笑)、ちょっと天然の入った女性です。
それが40近い年齢の女性だというからまた不思議な雰囲気を醸し出していまして(笑)。
ただ、彼女の存在は興味深く、例えば
皆さん、自分で魚の絵を書く事想像して見てください
僕は何も考えずに思い浮かべると左が頭になります。
みなさんはどうでしょう。
比較的左が頭にする方が多いのでは?
ただこの蕗子さん、頭を右にして描いたのです。周りの子達もなぜか左に頭。
そこにただひとり右に頭の絵を描いた蕗子さんは急激な疎外感を感じたそうです。
なんてことこない話なのですが、僕はこの話で急に蕗子が愛おしくなりまして
そこにどんどん彼女の独特な感性が付け足されていくわけです。
手を洗って拭いたあとのハンカチの行くへについて悩む蕗子さん、
路子になる予定だったが役所の勘違いで蕗子になったことにホッとする蕗子さん、
ロイヤルミルクティの淹れ方にこだわる蕗子さん、
なんだか彼女の素朴な異端さ、言葉通り正反対の二面性に引き込まれるわけです。
物語はこの蕗子さんの父親が秘密裏に行っていためぐらし屋なるお仕事を中心に進んでいくのですが、そんなことより僕はあなたが知りたい。
そう思ってしまった作品でした。
これがいいのか悪いのかわかりませんが、
この本の魅力は蕗子さんという存在だったのではと思わされたのでした。
ふぅ・・・
えっと・・・
あと7冊の紹介が残っているのですが。。。
そのうち二つは完全に話を忘れております。。。
どうしよう。。。