ゲーテの「詩と真実」一部を読み終わった。


アウグスティヌス、ルソーの自伝と並んで、世界三大自伝と言われているゲーテの自伝。


どんな育ち方、どんな経験をしたらゲーテみたいな偉大な精神力を持てるのかが知りたくて。


一部ではゲーテの少年期から大学入学までが描かれている。


心に残ったとこ、赤字で抜粋。


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私たちはまた、感傷癖や、空想的な楽しみに溺れていないで、むしろ避けがたい苦難に耐え、もしくはそれに対抗するためには、自己を鍛えなければならない理由があるということに気付いたのである。

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人生の苦難を乗り越えていくためには自分を鍛える必要があると、少年時代に早々に気付いたゲーテがすごい…。


次ぎ、ゲーテにとって生涯忘れられない女性となる、若き日の恋人グレートヒェンと出逢った時。


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無垢な青春時代の最初の愛情はどうしても精神的の方向をとるものである。

自然は、男女のいずれもが異性のうちに善と美との表現をみとめることを望んでいるように思われる。


こうして私にもまた、この少女をみることによって、この少女を愛することによって、美しいものすぐれたものの新しい世界が開かれた。


私は自分の書いた詩を百度も読み返し、署名に見入り、それに接吻し、それを私の胸に押し付け、この愛らしい告白を喜んだ。

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天性がある程度調和してできている若い二人の男女にとっては、少女に知識欲がさかんで、青年が教え好きである場合ほど、その結合が美しくなることはない。


この組み合わせから、根本的な、同時に快い関係が生まれてくる。


女は男を自分の精神的存在の創造者として認め、男の方では、自然や、偶然や、或いはまた一方的な意志によって完成したのではない、双方の意志によって完成した創造物を彼女に認めるのである。


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う~~~~詩人にとっての恋ってば…ラブラブ

一人の人に恋をすることによって、美しいものすぐれたものの新しい世界が広がるって素敵だな~。

私は詩人じゃないけどそういう恋がしたい。


そしてグレートヒェンに失恋したあと、ゲーテが自然画を描きながら物思いに耽っていた時期のこと。


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私は自分の描いた絵に、そこに描かれたものよりはむしろ、それを描きながらその時々に考えたことを思い出す習慣がついていて、そのためにそれそれらの絵が私には好ましいものに思えたので、なおさら熱心に私はこの道楽にふけった。


こうして、ごくありふれた草や花もわれわれにとって好ましい日記の代わりとなることができるのである。

幸福な瞬間の思い出を呼び戻してくれるものは全て、無意味であるはずはないからである。


それゆえに私は今もなお、さまざまな時期に描かれて残っているそうしたいろんなものを、価値のないものとして捨て去る気には容易になれないのである。


なぜなら、それらのものは、たしかに悲しみの念もともなわないではないが、しかし私が喜びをもって思い出すあの時代に、直接私を引き戻してくれるからである。

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ゲーテのこういう前向きさがほんと魅力的だ…。


失恋して落ち込んでも、そういう自分の感情としっかり向き合って、一つ一つ大事にできる。

そして、後で振り返ったときに、悲しみはあっても、むしろ恋の渦中の喜びをメインに思い出す。


前向きな人って、生まれつき強い人なんじゃない。

自分で自分を励ませる術を身につけた人なのだ。


作中のゲーテはまだまだ青年。


これからどう成長して、偉大な文豪へとなっていくのか…。

第二部へ突入馬