やなせたかしさんのエッセイ「絶望の隣は希望です!」と読んだ。



ティアドロップス☆☆


やなせさんは偉大な楽観主義者だと思う。

本当の楽観主義者って、単に「なんとかなるさ~」みたいな日和見主義とは違って、どんな状況にも希望を見出していける心の強さを持ってる人だと思う。


やなせさん、92歳になってもお元気!!


恐らく震災を受けて、ご自分の人生が少しでも希望になれば…との思いで上梓してくださった本だと思うのだけど。


温和な笑顔からは想像もできないほど苦難の連続のような人生。


幼い頃に実のお父様が病死、お母様には捨てられ、唯一の弟さんは戦死。


漫画家になったものの代表作になるようなヒットに恵まれず、アンパンマンがブレイクしたときはもう60歳近く…。


ようやく平穏で幸福な人生を手に入れたと思った矢先に最愛の奥様が病死して一人取り残され…。


それでも今毎日を希望を持って過ごしていらっしゃる。


特に印象に残ったのは、アンパンマンの誕生にも関わってくる、「本当の正義とは何か」ということ。


戦中、戦後を経験したやなせさん、それまで正義だと信じ込んでいたものが一瞬にしてひっくり返ることを目の当たりにし、正義とは何かを考える。


国によってそれぞれの正義があり、それは勝敗によって簡単に裏返る。


では、いつの時代もどこの国でも変わらない、普遍的な正義とは何かと考えたときに到った結論が、「目の前のひもじい人にお腹一杯食べさせてあげること」だったっていう…。


まずひもじい人をお腹いっぱいにしてあげて、その上で正義だなんだと論じるのはいいけれど、苦しんでる人をないがしろにして正義も何もないっていうのがやなせさんの持論。


世界の国の指導者たちがそんな風に考えるならば、イデオロギーや宗教や利益のための戦争なんて起こるはずがない。

だって戦争は必ず誰かを犠牲にしてしまうから。


まず国民の幸福ありきだったら、戦争なんか起こらないのだ。


そして誕生したのがアンパンマン。


アンパンマンは自分の顔を分けてあげるけど、それで力を失ってしまう。

それもやなせさんの、「真の正義は、自分を犠牲にしないと成し遂げることができない」という信念に基づいている。


子供相手のアニメだけど、子供相手だからって決して手を抜かない、逆に、子供だからこそ本気のメッセージを届けたい、そういうやなせさんが素晴らしいと思う。


そして面白かったのがやなせさんのアンチエイジング法。


筋トレされたり毎朝野菜スープを飲まれたり、色々と気を遣ってるそうだけど、お洒落をすることが長生きの秘訣!ってのはなるほどと思った。


やなせさん、ジーパンはカシミヤ素材のオーダーメイドだそう。

っていうのも、既製品じゃ老人には硬いし、ヒップの線がきれいに出ないからだとか…にひひ


「卒寿を過ぎた爺さんが、なにがヒップの線だなんて笑われるのでしょうが、そう、そこが大事なのです。いつまで、このジーパンをかっこよくはきこなすことができるのか、92歳の僕に“アンチエイジング”の目標ができたと、ヒップの線を気にしてる今日この頃です。」


だって。


うーん、やなせさんもアンパンマンも最高にかっこいいアップアップ