録画したまま観てなかった「借りぐらしのアリエッティー」をやっと観れた。
上映時間も短く、特に大規模な事件が起きるわけではない小品だけど、私は好き~
ストーリーは、手術前の療養で田舎に来た少年翔くんが、その家の床下に住む小人のアリエッティーと出会い交流を深めるけど、人間に見つかって迫害されることを恐れるアリエッティー一家は出て行ってしまうっていう話。(はしょりすぎー)
まずジブリはやっぱり映像美が素晴らしい。
平面的になりがちなアニメだというのに、木々の瑞々しさや空気の清涼さ、家の湿気まで伝わってくるような…。
そして、他のジブリ作品にも共通してるけど、小さな生き物に対する作り手の暖かな眼差しがいい。
アリエッティーが団子虫を捕まえてお手玉にして遊ぶシーンの可愛さと来たら…
(団子虫なんてもう何年も見てないから、存在すら忘れてた…)
虫や猫、鯉まで生き生きとしてて、観てる側もわくわくしてくる
そんでもって、ジブリといえば欠かせないのがボーイミーツガール
私、ジブリの現代を描いた作品に出てくる少年たちがかなりタイプーーー
耳をすませばの聖司くん然り、コクリコ坂の先輩(名前忘れた)然り、翔君然り…。
爽やかで清潔感溢れる美少年…
翔君がラスト、アリエッティーが去っていったあとに、「君は僕の心臓の一部だ」って言ったシーンにはかなりどきっとしたな。(トーマの心臓を思い出した…)
アリエッティーと出会う前の翔君、自分の死を覚悟し、生に対する諦めがあった。
最初アリエッティーに感じたのは、自分と同じ、先が長くない存在に対するシンパシーだったのではないだろうか。
アリエッティーに、「君たちは滅び行く種族だ」って告げたのも、翔君からしたら「僕と一緒だね」っていう当たり前の共感を告げただけなんだと思う。
(レビューでは“唐突すぎ”とか“意地悪い”とか言われてたけど…)
だからアリエッティーが強く反発したときに、素直に驚いた顔をしたのではないだろうか。
小さくて弱くて、仲間もいないのに、「私たちは絶対に生き延びるわ!」って宣言したアリエッティーに、翔君は自分にはない「生きようとする力」を感じたのだろう。
ドールハウスの一部を強引にプレゼントしたり、アリエッティーのお母さんを一緒に探そうとしたり、自分なりにアリエッティーを守ろうとする翔君。
それが逆効果になっちゃうこともあるんだけど、翔君はアリエッティーのために何かできることが単純に嬉しかったんだと思う。
両親は離婚し、母親は仕事で忙しくて、心臓に病気を持っている翔君は、きっと今まで「誰かの役に立つ」よりも、誰かの重荷になってると感じることの方が多かっただろう。
だから大人しくて聞分けがよく、目の前で母親の悪口を言われても黙って聞き流す。
それは、必要以上に誰かの負担にならないように自分を律してきた結果。
その翔君が、初めて自分が守ってあげられる、助けてあげられる存在がアリエッティーだったのだ。
アリエッティーを守ることで、生きる喜びを感じ、生きようとする力を得た翔君。
だからアリエッティーは翔君にとって、「僕の心臓の一部」になった。
ええ話や…
そして、アリエッティー一家が結局引っ越してしまうラストも、私には納得だった。
レビューの中には、最後翔君の部屋にあったドールハウスで暮らすことになればスッキリした結末だったのにっていう意見がいくつかあったけど、それはあくまで人間にとっての“スッキリ”だと思う。
マイノリティーの種を保護し、愛玩することは人間からの目線では「良いことをした」になるのかもしれない。
でも多分人間以外の種にとっては、“ほっといてもらう”ことが一番いいんだと思う。
互いの生活を侵さず、干渉しないこと。
植物は植物らしく、動物は動物らしく、人間は人間らしく生きること。
多分人間と人間以外との“共生”とは何か。
そんなメッセージもあのラストには込められてたんじゃないかな。
ドールハウスの夢を語っていたおば様が、最後ドールハウスの中にあるポットにハーブの葉っぱが入ってたのを観て、小人の存在を感じるっていうのもとても粋だった。
実際小人を目にするよりもよっぽど夢があって素敵じゃない?
家政婦の小憎らしいハルさん(きりんさんの素晴らしい演技力!)は、まるで子供みたい。
「殺さないで捕獲するの!」って業者に言ったり、アリエッティーのお母さんを小瓶に閉じ込めて置いておくのも、子供が意味なく虫を捕まえて自分のものにしたがるのと同じような…。
気になるのは翔君とアリエッティー、それぞれのその後だけども。
映画の冒頭で「あの夏僕は…」っていうナレーションがあったから、きっと翔君の手術は成功したんだよね?
で、翔君と別れて少しセンチメンタルになってるアリエッティーに、スピラーが木苺を渡したシーンは、新しい仲間とまた新しい関係が始まっていくことを示唆してるし…。(スピラーのあの無骨さはトトロのカン太を思い出させて可愛い)
観終わった後、あれにはこういう意味があったのかな~とか、あの後どうなったのかな~とか、ほのかな余韻を残すラストだった。(もやっとしない程度に余韻を残す、絶妙なさじ加減!)
「コクリコ坂」も「アリエッティ」も、監督がごろーさんだったりマロさんだったりで、偉大な宮崎駿監督の大作と比べられてあーだこーだ言われてるけど、充分クオリティーの高い作品だと思う。
次回作も(あるのかな?)楽しみ
おまけ
今日(ってかもう昨日)12時に起きて、アリエッティー観終わったらまた眠くなって、夕方ちょっとだけ昼寝するつもりが起きたら夜の9時だったっていう…。
最高に無価値な休日を過ごしてしまった…
そして案の定夜中目が冴えてもうこんな時間だけど…。明日朝10時半に約束があるのに自分起きれるのかぁーーーっっ