読書記録「ヴィルヘルムマイスターの修業時代」 | ティアドロップス☆☆
    「ヴィルヘルムマイスターの修業時代」を読み終わった。
    ゲーテとの対話が細かい字でめちゃ長かったので、この本も読み終えるのに相当な時間がかかるだろうと覚悟していたんだけど、いざ図書館で取り寄せてみたら文字も大きめで読みやすく、10日間ほどで読み終えてしまった。

    ストーリーは、主人公の演劇青年ヴィルヘルムが、失恋をきっかけに旅に出て、ある劇団と旅をしながら色々な出来事や恋愛に遭遇し、成長していくっていう話。

    本は結構読む方なんだけど、ストーリーを追うばかりで、その本のテーマだとか、登場人物の人間性だとか、深い読み方ができないのが私の未熟なところ…。

    この本もストーリーが面白かったので一気に読んでしまったけれど、結局ヴィルヘルムが全編通して何がどう成長したのかがいまいち分からなかったっていう…。

    そして「塔の結社」も、どこからどこまでヴィルヘルムを見守り、何をもって修業を終えたと判断したのかがよく分からなかった…。

    そんな浅い読み方しかできない私なりに感じたことを少々。

    今、ひきこもりなど、打たれ弱い人間が増えているという。
    この前新聞で、「一億総ガキ時代」っていう本を書いた作家のインタビューを読んだけど、親が子供を大事にするあまり、転ばないよう事前に子供の前にある石を取り除いてきた結果、転ぶ痛みを知らない子供たちが、自分の存在を否定されたり挫折を経験したりすることを受け入れられず、他者とのかかわりを断ち切って自分を守ってしまうのでは…というような内容だった。

    そういう人たちは、ぜひこの本を読んだらいい。

    ヴィルヘルム、挫折の連続。演劇に対して純粋な情熱を持っているけれど、一緒に旅をする一座はそこまでの感性を持ち合わせておらず、ヴィルヘルムは一人空回り。
    愛する女性には裏切られるわ、貴族には軽んじられるわ、強盗には襲われるわ、貢献してきた劇団には厄介払いされるわ、まあ~散々。

    でもヴィルヘルムは人生に絶望することはない。
    その時その時で自分にとって誠実であり、最善と思える道を選ぼうとする。
    最後、「芝居の才能はない」と塔の結社の仲間にばっさり言われ、本人も青年特有の熱病に浮かされていたような演劇への情熱から冷め、現実的な道を歩くことを決意する。
    そして、これまで彼の誠実さや純粋さを理解しなかった低俗な連中から離れ、ロターリオやテレーゼのような気高い人格者たちの輪に入る。

    考えてみれば名作と言われる小説で、主人公が困難や挫折を経験しないものなんてないな。
    みんな挫折しながら成長し、人生のなんらかの真髄というものを見つけ出していく。
    私たちの人生も小説に例えるならば、きっと挫折したり失敗したりする方がより豊かで深い人生を生きられるのだろう。
    順調で悩みのない人生なんて、一見楽だけど、きっと薄っぺらい人間のまま終わってしまう。

    前述の通りヴィルヘルムが具体的にどう変わったのかはよく分からなかったんだけど、周りが見えず自分自身のことだけを考えてたヴィルヘルムが、「美しき魂の告白」に象徴されるような、宗教的な高い概念で自己を見つめ、自らを高めながら人々のために尽くしていく人生こそ美しいってことを知った…のかな?(曖昧)

    そしてここからはちょっと納得いかなかったところ。

    塔の結社やその周囲の人間が強く光を放ってるのに対し、救われないまま闇に沈んで行ったミニョンと竪琴ひきがあまりにもかわいそう…。

    テレ―ゼやアベは、きっと二人のことも、ヴィルヘルムと同じように救っていこうとしたと思うんだけど、二人はその甲斐もなく悲劇的な最期を遂げる。

    ヴィルヘルムと、二人の何が違っていたのかって言うと、これも私なりの解釈だけど、ヴィルヘルムは他者と関わり、どんなに失敗しても周囲に心を開くことをやめなかった。
    でも、ミニョンと竪琴ひきは、閉じた世界に生きていた。
    ミニョンにとってはヴィルヘルムと失った故郷以外に世間への執着はなく、竪琴ひきは過去に囚われたままだった。

    その違いが結局明るい世界を引き寄せるのかそうでないのかの違いになった気がする…。

    でもかわいそう…。

    そしてミニョンや竪琴ひきの死が、塔の結社やヴィルヘルムにあんまり影響を及ぼしていないようにみえるのもちょっと…。
    ミニョンなんか直接死の原因になったのはヴィルヘルムだっていうのに、当のヴィルヘルムはすぐにナターリエに求婚してるし、おいおい、もうちょっと反省しなさいよっていう…。

    あと女性の描かれ方が…あせる
    みんな次々ヴィルヘルムに恋をするんだけど、ヴィルヘルムってそんなに魅力的か??
    青年らしい可愛さはあるけれど、テレ―ゼやナターリエのような聡明な女性までヴィルヘルムに恋をするのがよく分からない…。

    そしてヴィエルヘルムは、恋に破れ傷ついたりすることはあるけれど、基本的に優柔不断っていうか、「お前は光源氏か!」って突っ込みたくなるような移り気具合…。
    振り回された伯爵夫人とか超かわいそうなんだけど…。

    ゲーテも恋多き人だったみたいだし、ゲーテ自身がそういう恋愛をしてきたからそれが普通だと思って書いてるのかもしれないけど、女性側からみると「調子にのるなヴィルヘルム!!」って言いたくなってしまう(笑)

    あさーい読み方だけど、以上が私の感想。
    次はさっそく遍歴時代に突入―。

    おまけ
    ヴィルヘルムの成長っていうのが結局どういうものだったのか明確な答えがほしくてあちこちのぞいていたら、深い考察をしてるサイトを見つけたのでご紹介。
    http://www.drycarbon.com/marimo/index.rb?room=droom;memo=+%3A+%83%94%83B%83%8B%83w%83%8B%83%80%81E%83%7D%83C%83X%83%5E%81%5B%82%CC%8FC%8Ds%8E%9E%91%E3

    ななななるほど…。私自分じゃ絶対こんな読み方できない…叫び
    こんな風にふかーく読書できる自分になりたいな…。
    おまけ2

    先週六本木をお散歩してたときに立ち寄ったカフェで飲んだコーヒー。

    ティアドロップス☆☆
    可愛いラブラブ

    帰りに白金高輪駅の前を通りかかったら、爆笑問題の田中さんが撮影してた。
    遠目からみると背が小さくて、頭も小さくて、まるで子供みたいで可愛かったにひひ

    お花屋さんから花束を抱えて出てくるシーンだった。なんの番組なんだろ?