今日は薪能を観にいった。

18:15から新宿御苑にて。


毎年春に夜桜能を観にいってるのだけど、今年は震災の影響で行けなかったので、代わりに秋の薪能。


私野外能好きなんだよな。

観るならそりゃ能楽堂の方が客席は少ないし、静かだし、落ち着いて観れるんだけどね。

対して野外能は客席が多いから悪い席は本当に観えないし、ヘリだの電車だのの音はうるさいし、何より寒い!!


でも、自然に囲まれて、薪に照らされた舞台で演じられる能は本当に幽玄で美しいのだ。


新宿御苑、はじめて行ったんだけど、新宿とは思えない自然の多さ。

普段は四時までしか開園してないのが、今日は特別に夜能のためだけに開園してる。

天上には十三夜の朧月。虫の音は美しく、草のいい匂い。


この薪能には毎年テーマがあるらしく、去年は「鬼」(観たかったな)で、今年は「獅子」だって。


狂言も能もそれに沿った演目で、狂言は「越後ムコ」(ムコの字が出ない…)で、主役は萬斎さんラブラブ、能は「石橋」(しゃっきょう)。


萬斎さんの狂言観るの久しぶりだな。一時期能楽堂よく行ってたんだけど、最近は狂言以外の舞台の方しか観にいってなかった。


いよいよ開演。

狂言って、昔のコントみたいな、愉快な展開の物語が多いんだけど、越後ムコはストーリーはあんまりない。

ムコになった萬斎さんが、義兄と舅に挨拶にいって、酒宴の場でお互い芸を披露するっていうだけの話。


芸は三つ。まず萬斎さん演じるムコがなんか小咄みたいのを軽妙な振付をしながら言って、次に舅の朗々とした謡い&舞、そしてメインがまたもやムコの演じる越後の獅子舞。


もう~萬斎さんが出てきた途端テンションあがるわ~~アップアップ

いつ聴いても変わらない美声にうっとり…ラブラブ!


萬斎さんの大好きなところは、映画とか、狂言以外の舞台とかでも活躍しつつ、足場はきちんと狂言に定めているところ。

狂言の舞台での萬斎さんは、外の世界でも華やかに活躍してる人とは思えない位、きっちりと狂言の様式にのっとった簡素で美しいお芝居を見せてくれる。


なんかこう安心する。めまぐるしく移り行くスピード社会の中で、いつ戻ってきても変わらない様式の美しさ。

伝統芸能の良さっていうのはそういうところにあるのかなと思う。


さて、萬斎さんの演じた獅子舞、従来のものに本当に越後の獅子舞の振付をミックスさせた萬斎さんオリジナルのものらしい。


すっごいかっこよかった音譜

側転したり倒立したり…40代とは思えない身の軽さ笑


萬斎さんの演じる狂言って、どの役を演じててもどこかこう良い意味での軽さがある。

スマートっていうか…。

年齢を重ねていくことで、その持ち味の軽さがどう変化していくのかも楽しみ。


伝統芸能ってなかなか敷居が高くて理解されにくいから、歌舞伎なんかだいぶ趣向をこらして分かりやすく面白くしてるみたいだけど、能や狂言って演出を変えるにしてもどうしても守らなきゃいけない枠みたいのがあって、その中でいかに一般に受け入れられやすくするかっていうのをよく考えてるんだろうな~っていう萬斎さんの獅子舞だった。


すごく素敵だった。また能楽堂行きたくなっちゃった。


あっという間に狂言が終わり、休憩を挟んで能。

その前に女優の真野響子さんと名前分からない男の人の幕間解説トークみたいのがあった。


真野さん、「初めてご覧になった方で、今日の狂言を狂言だと思われるとこれからちょっと…」だってむかっ失礼じゃないかしらむっ


言いたいことは分かるさ。

確かに狂言は、観てて笑いがこぼれるような楽しいものが多くて、今日みたいにストーリーがあんまりなくて芸を披露するものって少ない。


でも今日の獅子舞だって素晴らしかった。観てて全然飽きなかったし、むしろ萬斎さんの舞を堪能できる演目の方が少ないから貴重~だったのよ。


観に来てたお客さんたちだってきっとそう思ってたはず。(多分…)


まあ結構このトーク面白かったけどさ。

次の石橋の解説とか、ためになった。


石橋って能でとっても有名な演目なんだけど、通常は白い鬘をつけた一人の獅子舞が舞うらしい。でも今日のは小書っていう演出がついてて、赤と白両方の鬘をつけた親子獅子舞なんだって。

楽しみ~~~音譜

しかも子供の赤獅子を演じる方はまだ18歳だとか…。


狂言はあらかじめストーリーを知らなくても大体聞き取れるし面白いんだけど、能は全然聴き取れない。

最初の内何回かはそれでも聴き取ろうと努力してたけど、何かで「ストーリーが分からなくても視覚的に楽しんでいただければ…」とか能役者の方が語ってるのを読んで以降、聴き取る努力は放棄した。


おおまかにあらすじを押さえてって、今大体このシーンかな~って思いながら、謡の声とか所作、幽玄の雰囲気を毎回楽しむだけ。


でも今日は!!

イヤホンガイドという強い味方が…キラキラ


はじめて借りたんだけど、すっごいいいね、これ!!

能楽堂でも毎回貸し出してくれないものか…。


登場人物の説明や、全く聴き取れない謡がどういうことを言ってるのかを絶妙なタイミングで挟んでくれるので、あらすじがよく分かってすごく楽しめた。


そしてそして。

萬斎さんファンの私はいつも狂言メインで、能はついでに楽しむくらいのスタンスなんだけど、石橋超~~~~~かっこいい!!!!!!!


獅子の動き!!!!!

白獅子は親獅子らしく重厚でどっしりした動きで、赤獅子は敏捷で元気ビックリマーク

途中親獅子が子獅子を谷に突き落とすようなシーンとかもあって、うわ~~~終わらないで~~~っていう位かっこいい舞だった。


能もこういう演目ばっかりだったら楽しいのにな~~~~~~~キャハハ


連獅子の小書つきの石橋だったらまた見たいビックリマークビックリマーク


三連休、体調不良だったり結婚式だったりで結構疲れちゃって、今日行くまではチケット取ったこと若干後悔してたんだけど、行ってよかったな。


新宿御苑も素敵な庭園だったし…。今度は昼間に遊びにこよっと音譜



ティアドロップス☆☆
薪能の舞台。美しかった。


おまけ


今日昼間うちに来た友達がお土産に持ってきてくれたパン。


ティアドロップス☆☆
「竜馬の足」っていうんだって。

中身はこしあんなんだけど、生地からしてすごくおいしかったーーーーー音譜