今日は夕方まで予定がなかったので、午後、久しぶりにあぐり総集編を観ていた。
萬斎さんを初めて知った作品。
これが放映されていた時は確か中学生だったと思う。
BSだと朝の連続テレビドラマ小説は7時半か7時45分からやっているので(←適当)、毎朝学校に行く前に観ていた。
萬斎さん演じるエイスケと、田中美里演じるあぐりは不思議な夫婦。
いつもふらふらしていて家に寄り付かないのに、たまに帰ってくると「やああぐり、元気だったかい?」と飄々と聞くエイスケさんに、これまたニコニコと「はい、エイスケさん
」と答えるあぐり…。
あぐり、いいのかそれで…![]()
と思いつつ、不思議だけど妙に心温まる素敵な夫婦だなぁと思っていた。
その頃の連続テレビドラマ小説はほとんど観ていたけど、一番好きだったのがあぐり。(あと「女は度胸」…)
朝ドラの歴史から見ても、あぐりは高視聴率だったし人気の高い作品だった。
なんと言っても萬斎さんが演じたエイスケさん![]()
萬斎さんの名前を一躍有名にしたのがこのエイスケさん役。
恐ろしく魅力的…![]()
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飄々とした風来坊。
束縛されることを嫌い、自由に振舞いながらも、繊細で人の心の機知には敏感。
自分勝手で傍若無人なのに、なぜか人の心を掴んで離さない人。
(なんか誰かに似てる気がする…
こういう人に惹かれるのは私がMだからか…)
そんな難しい役を、萬斎さんはこれ以上はない位ハマり役として演じていた。
相手役の田中美里も、これが演技初挑戦とは思えないほど瑞々しいあぐりだった。
この2人のシーンは萌えポイントがいっぱい…![]()
お金に困って嫁がされたあぐり、最初はいい加減なエイスケさんが大嫌い。
エイスケさんは、自分に対して興味がないあぐりがお気に入り。(エイスケさん、女学生にはモテモテ、家族には問題児として、常に周りから特別視されていたので、自分のことをなんとも思っていないあぐりの存在が心地よかったのではないだろうか。)
エイスケさんはあぐりをからかい、あぐりはムキになって怒るばかりだったけど、色々な問題を通じて2人は夫婦としてお互いを愛するようになっていく。
エイスケさんが“ずるい”のは(笑)、普段は軽くていい加減なのに、ポイントはきっちり押さえているところ。
あぐりが、友達が身分違いの恋に破れたとき、泣きながら「エイスケさん、人間は皆平等です。私間違ってますか?」と聞く。
エイスケさん、いつもとは打って変わった優しいささやくような声で、「いいや、君は間違ってないよ。あぐり。」と。
あぐりの母が自分の死が近いことを悟ってあぐりに会いに上京してきたとき、それを知りながら知らないふりで笑顔で最後まで母親を見送ろうと決めたあぐり。
母親が岡山に帰るとき、泣いてしまいそうになる。
そのとき隣のエイスケさん、小声ながら強い口調で「泣くな」と。
「お母さんに君の笑顔を覚えててもらうんだ。泣くな。」
大好きーっっっ![]()
(自分落ち着け)
いつもふらふらとしていて、自分の好きなことばかりしているエイスケさんだけど、本当は心からあぐりのことを愛していると分かるシーンが、あぐりが病気で生死をさまようシーン。
病室で目を覚まさないあぐりに付き添いながら、エイスケさんが親友に語る。
「あぐりが死んだら、僕も死ぬだろう。あぐりが死んだら、もう書けない。書けなければ、生きてる意味がない。あぐりがいるから僕は書ける。
小説が書けなくなったとき、あぐりが縁側に座って空を見上げていた。何を見ているの?と聞いたら、あぐりが“雲”と答えた。
“あの雲はどこに行くのかな?”と聞いたら、あぐりは言ったんだ。“それは風が決めることだから”って…。“風が決めることだから”って言ったんだ…」
言いながら涙を流すエイスケさん。
普段は糸が切れた凧のようにふらふらしてるエイスケさんだけど、好き勝手に飛べるのは、いつでも変わらない笑顔で自分を迎えてくれるあぐりが待っていてくれたからだろう。
一緒にいなくても、愛の言葉を交わさなくても、お互いを想う心が根底にあるから、この夫婦は風変わりだけど温かいのだ。
このエイスケさん、物語が進んでいくにしたがって、段々退廃的な雰囲気を漂わせていくようになる。
変わらず軽くて飄々としているけど、まるで生きいそいでいるかのような危うさがある。
あぐりに、「またどこかに行ってしまうんでしょう?」と寂しげに微笑みながら聞かれたとき、「どこにも行かないよ。ずっと君のそばにいるよ。」とあのささやくような美声(笑)で答えた次の日に急性狭心症で他界してしまう。
この辺の、もうエイスケさんの先が長くないであろう悲劇を予感させる萬斎さんの演技が素晴らしいのだ。
エイスケさんが、ただのいい加減なダメ夫キャラにならなかったのは、緩急を自由自在に操る萬斎さんの繊細な演技があったからこそ。
いかん。総集編じゃなくて完全版DVDが欲しくなってきた…。
ガマンガマン…![]()
ちなみにあぐりには当時12歳位の生田斗真くんがあぐりの息子役で出ていた。
当時から知性的な雰囲気な子だなぁと思っていたので、ブレイクしたときは親のように(笑)嬉しかった![]()


