スポーツナビより、各選手のSP感想。気になるところだけ。



「■SP18位/ジュベール「あんなミスは今までしたことがない」

――最初のコンビネーションジャンプを失敗したが

 調子は良かったのに大きなミスをした。なぜだかよく分からない。

――トリプルルッツの失敗について

 あんなミスは今までしたことがない。それでも最後まで続けなくてはいけなかった。

――プログラムについて

 氷の上に出たときは、特別変わったプレッシャーはなかった。欧州選手権の方がずっとナーバスだった。オリンピックではいつもうまくいかない。なぜかは分からないし、説明もできない。」



ジュベ…しょぼんしょぼん

ジャンプ二つ失敗して、きっと頭の中は真っ白になっていただろう。

普段なら観客を巻き込んで盛り上がるステップなどももう一刻も早く終わりたいと機械的に要素をこなしてるだけにみえた。


失敗したあとにあの陽気なプログラムはとてもつらい。


ヤグディンの五輪の次の年のどの試合か忘れたけど、怪我が悪化した状態で望んだSP「Racing」もそんな感じだった。


明るい曲であればあるほどジャンプ失敗してこわばった表情が痛々しくて…。

(そういえば同じサフリ・デュオの曲)


「僕はいまだにヤグディンのオリンピックのビデオを何度も見る」と語っていたジュベを思うと胸が痛い。

きっとバンクーバーでは自分がその立場にいることを想像しながら観ていたのだろう。


明日はクワド二回成功しますように。



「■SP7位/チャン「自分のやるべきことをやるだけ」

――トリプルアクセルに失敗したが

 自分でもなぜだか分からないし、何が起きたのか分からなかった。

――フリースケーティングで4回転に挑戦するか

 自分のやるべきことをやるだけ。ここ2週間は4回転の練習をしていないし、なぜ入れなきゃいけないのか分からない。」


四回転論争について思うのだけど…。

ライサもそうだけど、なんでクワドが跳べない選手はそこを攻められると「ジャンプやステップも同じくらい大事」だの「フィギュアはトータルパッケージだから必ずしも必要でない」だのというのだろう。


プライドのない一般人の考えかもしれないが、「跳べるものなら跳んでいる。跳べないから跳ばない。入れて自滅するより他の要素で点数を稼いでメダルを獲りたい」って普通に言えばよくない?と思うのだけど…。


それを言われたら誰だって「だったらしょうがないかグッド!」って答えるしかなくなると思う。


プルさんの「クワドを跳ばないと技術が後退する」っていう意見には全面的に賛同するけれど、プルは入れた上で勝てる可能性が誰よりも高いから言えることでもある。

ジュベも同じ。

自分たちは挑戦した結果跳べてるので、「なぜ跳ばないのか」と苛立つ。


他の選手だって、跳びたくないわけでもなく、努力してないわけでもないだろう。

ライサだって全米で挑戦したし、チャンも二週間前までは練習していたと言っているのだから。

でも跳べないのだ。フィギュア界全体のことを考えて、自分の結果は後回しにしても入れ続けるのか、まずは自分の結果を優先するのか。


それは各々の選手の考え方でもあるし、選手の人生は選手だけのものなのだから、自由だと思う。

だけど、「跳べないから跳ばない」ではなく、「四回転の必要性がわからないから跳ばない」という風なコメントを聞くと、フィギュアファンとしてはやはりがっかりしてしまう。


チャンは特にそれが顕著だ。

プルのつなぎの薄さ、ジュベのスピンなど、欠点をあげつらって攻撃する。


あのヤグの演技まで、「今の僕らがやってるほど難しくない」と切り捨てた。(これについては大いに反撃したい。まず当時と今では採点方法が違い、求められてるものが違うのだ。フィギュアの歴史において例えるならば、まず二回転を跳べる選手があらわれて、三回転を跳べる選手があらわれた。チャンの批判は、三回転時代の選手がかつての二回転時代の選手を“二回転しか跳べないのか”と嘲笑したようなもので全く見当はずれ。

しかもステップやスピンはともかくジャンプ構成に関していえばヤグとチャンでは難易度は比べ物にならない)


自信とビッグマウスは違う。

スケーティングのずば抜けた上手さは認めるけれど…スポーツマンシップのない選手は好きになれない。


クワド論争に戻って考えると、大ちゃんやこずこずみたいに「成功するか分からないけど男子フィギュアの醍醐味として入れたい」っていう選手が一番美しく思える。(非常に日本人的だけど…)

ネットでの意見などを見ても、「たとえ失敗しても後悔しないように挑戦して欲しい」っていう意見が多い。

メダルより、選手の思いを尊重するファンが多いようで嬉しい。


自分の限界に挑戦することを優先するのか、試合の順位を優先するのかはさっきも言ったように人それぞれだけど、一番良くないのは、先日行われたペアの川口組のように、大技を回避してなおかつ失敗することだ。

悔やんでも悔やみきれない。

だったら挑戦して、たとえ失敗しても桜のように潔く散った方が遥かにマシ。

勿論挑戦してなおかつ成功すれば最高だ。


日本の3選手がどのような選択をしても、応援したい。

(気になるのは…結果第一主義のモロゾフ門下の織田君。どう出るか…)



「■SP15位/アボット「何でこうなってしまったのか」

――何がうまくいかなかったのか

 何でこうなってしまったのか、答えを見つけようとしている。何で今日で、何で今なのか。本当に胸が張り裂けそうな思いだ。」


アボット君…しょぼん


ジュベとアボット君に関しては、ファンの誰もが同じ思いだ。

「何で今日で、何で今なのか。」

(トマシュには悪いが…トマシュに関しては“今日も、今もか…”という感じだったり…ダウンごめんガーン


アボット君はキスクラの表情やリアクションを見てもとても素直で、こういう思いを率直に語ってくれるので、メンタル面では逆に強い気がする。ゆかさんの包み込むような表情にも安心する。

ジュベは、そういう思いをあまり言いたがらないように見えるので余計つらい。フリーが終わったら、誰かの前で思いっきり悔し涙を流せればよいのだけれど。


バンクーバーはそろそろ朝かな。

選手たち、どんな思いで目覚めるのだろう。


プル、頑張って。


昨日の演技にはジャンプ以外批判も多いみたいだけど、プルのお陰で男子の流れが変わったのは確か。


ロシア杯の後のタチアナのコメント。

「ジェーニャ(プルの愛称)の今夜の演技は私に思い出させてくれました。私とリョーシャ(ヤグ)と、彼とミーシン(プルのコーチ)の四人で過ごした特別な時間を。」


この2組、一騎打ち時代の渦中はコーチ同士祝福の挨拶もしない位の仲だったのに、終えてみると、きっと四人にしか分からない素晴らしく輝いていた時代だったのだろう。


ユーロの後のヤグのコメント。

「ジェーニャの目にはいつも自信がある。それは僕たちがお互いと戦うとき、また、他の選手と戦うときに僕たちの武器になった。それは僕たち特有のものだ。」


“僕たち特有”。ヤグとプルは一生親友にはなれないだろうけど(笑)、これまた言葉を交わさなくてもお互いだけが分かる選手としての思いがあるのだろう。


プルの復帰であの輝いていた時間を思い出したのはタチアナだけじゃない。

多くのフィギュアファンも一緒。


どうか明日、プルが全てのエレメンツを成功しますように。

体力が最後まで持ちますように。


氷さん、頼むからプルに足払いをかけないで。仲良くしてね。(自伝より。笑)