バンクーバーの前に、ここでエキシビジョンの話など…。
緊張感溢れる試合も好きだけど、終わった後のエキシビジョンも大好きだ。
細かく要素が決められてる試合と違って、各選手が個性を発揮してのびのび滑るエキシビジョンには、その選手がもつ武器というか魅力が溢れている。
ソルトレイクで金メダルを獲ったヤグディンの「OVERCOME」
派手な演出も何もなく、衣装も黒づくめでシンプルなものだったのに、強烈に光を放っていた。
魂で滑るってこういうこと?っていう…。じわじわと内側から湧き上がってきて、やがて放たれる熱いエネルギーみたいなものが圧倒的に会場を支配して、ヤグディンが「皇帝」とか「王者」とかって言われるのって、俺様な性格だけじゃなくて(笑)やっぱり風格からだと頷ける演技。
ヤグディン大好きっ子の(笑)ジュベが、「劣化ヤグディン」だの「コピー」だの一時期叩かれてたことを自分でも知りながら、大事な五輪のフリーにヤグディンのこの名プログラムの曲を選んだことからも、どれだけ強烈なインパクトを与えたかが分かる。
そしてヤグとくればプル(笑)
数々の名(迷)EXを生み出してるこのお方…
お笑い部門では「SEX BOMB」が有名すぎる。
「俺たちフィギュアスケーター」というコメディ映画で主演の二人がお尻に孔雀の羽をつけたりなんだり面白プロを披露していたけれど、笑わせようとあえて面白く作ったそれより本物の選手のプルのセッボンの方がはるかに面白いっていう…。
でも実は一番好きなプルのお笑いEXは「ONLY HE」(笑)だったりする。
ゴーストの主題歌「ONLY YOU」にのせて、地味に不気味な着ぐるみを着たプルがのろのろ踊るというこのプロ。
海外の解説者が「ONLY YOU…NO,ONLY HE」と言ってウケていたけど…確かに…あんただけだよ!(笑)
真面目EXでは、ユーロでザヤってジュベに負けたときのEX「ニジンスキー」、トリノでの「トスカ」。
もうね、このプロみてると試合にごちゃごちゃ規則つけるのやめない?って気分になる。
自由に制約から放たれた才能が飛翔するとどうなるのか…。普段抑圧されてる才能が暴れ狂ってる感じだった。
トリノのEXでは解説者も「いやこんなすごいの初めてみました…」と感嘆の声をもらしていた。
日本選手のEXも好きだ。
ゆかりんの今季の「ハーレム」。
これ大好き
ゆかりんのプログラムって、あの笑顔で踊ってたジゼルですらどうも固さがとれないというか…真面目一辺倒っていう感じで今まで上手いけどあまり心惹かれるものがなかったんだけど、ハーレムはセクシーで可愛くて…これ競技プロにすればよかったのに~って思った位。
インド(?)っぽい音楽も病み付きになる。
みきちゃんの「レクイエム」
これも荘厳で素晴らしい
初めてみたのは夏の「THE ICE」のテレビ放送だったけど、思わず引き込まれた。
これ競技プロにされたら真央ちゃんの地位が危うくなっちゃう…と真央ファンとして危機感を抱いた(笑)位。(いやみきちゃんも好きだけど。そしたら本当に競技プロになってしまった…)
真央ちゃんの鐘も荘厳なんだけど、真央ちゃんはどんなに重厚で荘厳な曲を表現してもどこか浮世離れしているというか、決して無垢なる高潔さを失わないのに対し、みきちゃんは(悪い意味でなく)真逆。
人間が持ってる弱い部分とか、そこから這い上がる強さとか、心をさらけ出しているかのような演技。
ここまで思いをこめられる女子選手もそうそういない。作った表現力ではなくて、きっと色々な経験や色々な思いをしてるみきちゃんだからこそ演じられるプログラムだと思う。
ほんと強くて良い色気が溢れる選手になったなぁ。
そして男子選手では、大ちゃんのラブレターとかビョークも好きなんだけど、なんといってもこずこずのEXが一番好き
去年の「ラストダンスは私に」なんて何回みても飽きない。
今季の曲名忘れたけどヒップホップのも大好き。(あの意味あるのか?っていうリバーシブルも…笑)
こずこずのスケーティングはシャープで軽快なので、ああいう洒脱で現代的な曲がとても似合う。
そしてこずこずにしろ真央ちゃんにしろ、EXに手抜きがない。
ちょっと話がずれるけど、私は二人のシットスピンが大好き。
太ももを胸にしっかりつけるようにして回る丁寧なポジションに二人の真面目で地道な性格がにじみ出てると思うのだけど…どうだろう。目の付け所マイナーすぎ?(笑)
こずこずの演技は観てる人に温かい気持ちを湧き上がらせるというか…応援せずにはいられないのもそういう陰の努力や積み重ねがにじみ出てるからだと思う。
そしてなんといっても真央ちゃんのEX.。
真央ちゃんのEXは毎年競技プロ並の強い印象を残す。
他の選手だとたいてい過去を振り返ってもこの年のショートはこれ、フリーはこれ、と思い浮かぶけど、真央ちゃんの場合は必ずそこにEXはこれ、と三曲セットで思い出す。(単純に観る機会が多いというのもあるけど…笑)
「別れの曲」「タンゴ」「カプリース」
特にここ3年のEXは大大大好き。タチアナについてからやっぱり飛躍的に表現力が向上してる。
毎年毎年EXでも進化を遂げてる真央ちゃんだけど、カプリースは真骨頂。
超かっこいい!!!(またボキャの少なさが…)
私が好きなのは、左手を腰にあて、右手で扇子を上から下に空気を切るようにバシッバシッと振り下ろしながら進む箇所。
あのときの勝気な表情と振りが、芯の強い戦う女性っていう感じでめちゃかっこいいのだ。
真央ちゃんの場合可憐なプロでも激しいプロでも、どこか孤高さが漂う。
去年のタンゴも女性的な色気を表現していたけれど、決して男性にもたれかかるような色気ではない。
情熱的なプロは健康的で強くて美しく、可憐なプロは清楚でありながら凛として他者を断絶している。
そんな感じ。
真央ちゃんのカプリースは女王のEXにふさわしい。
オリンピックで披露した暁には、ヤグの「OVERCOME」と同じく、語り継がれる名プロになるだろう。
おまけの話
12月はファイナルのエキシビジョンを観にいった。
ジョニーのEX好き。試合ではめったにお目にかかれないニースライド。
私あれかっこいいので大好きなんだけど…もうEXでもない限りなかなかお目にかかれないのが悲しい。
ライサ殿。
EXなのにコンビネーションジャンプを披露してくれて嬉しかった。確かコンビネーション跳んでくれたのライサ殿だけだった気がする。
ファンを喜ばせようというその心が素晴らしい。
それまで別にすきでもきらいでもない選手だったけど、一気に好きになってしまった
ヨナ。
マイナスな意見になっちゃうけど…。
今バンクーバーの金に一番近いのは(真央ファンとしては残念だけど冷静にみて)ヨナだと思うけど…。
もし金メダルを獲るつもり満々なら、EXは絶対に変えた方がいい。
あれは金メダリストのEXではない。
ヨナは真央ちゃんのライバルだけど、演技は嫌いじゃない。
去年の死の舞踏や今季の007は最初みたとき確かに惹き込まれたし、あげひばりの時なんか滑らかでたおやかな動きはとても素敵だと思った。
でも今季のEX。
あれはファイナルで実際にみたとき正直「バカにしてんの?」と思った位憤りを感じた。
その場で踊ってるだけで、ほとんど滑らない。
スパイラルもなし、ステップもなし。
申し訳程度にジャンプを2~3回跳んでた位。
演技自体とても短い。
EXだから評価の対象にはならないし、どんなEXを選ぶかは本人の勝手なんだけど…。
中学時代にW君というクラスメイトがいた。
彼は秀才だったけれど、とても分かりやすいことに、受験科目である五教科の点数は毎回すごくいいのに、受験に関係ない四教科(音楽、体育、家庭科、美術)の点数はぼろぼろで、四教科のテストは明らかに手を抜いているのがばればれだった。(というか隠そうともしていなかった)
それはW君の勝手だけれど、そのあまりのあからさま加減がちょっといやらしいというか、幾ら優秀でも冷めた気分でつい見てしまったことを思い出した…。
それと同じ。
あれならまだ007をEXでもう一度踊ったほうがましだと思う。
さてさて、バンクーバーではメダリストたちはどんなEXを披露してくれるだろう。
試合も楽しみだけど、心臓がもたなそう(笑)なので、今すぐその瞬間にワープしたい…
最後に…どの瞬間を切り取ってもお蝶夫人のように(笑)美しい真央ちゃんのポジション三連発