出逢ったときに確かに感情は動いたのだけれど、まだ自分にとってそんなに大きな存在になるとは思えなくて、
とりあえず心の片隅に置いておき、ほっといてるうちに勝手に芽を出して花をつけて、気づいたら一番必要としているときに果実をぽんと自分にもたらしてくれる、そんな素敵な種が人生には幾つもある。
「プリンス・エドワード島 七つの物語」吉村和敏
二年ほど前に行った「赤毛のアン」展。
「赤毛のアン」には特に思い入れはないのだけれど(思い入れがないというよりマシューが銀行の破綻がショックで死んでしまうところが悲し過ぎて読み直す気になれない…)、タダ券をもらったので行った。
展示会場には、赤毛のアンのグッズが売られているスペースがあって、アンの舞台プリンス・エドワード島の写真集も置かれていた。
ぱらぱらとページをめくって、「素敵だなぁ」と思ったものの、多分そのとき所持金がそんなになくて、もうちょっと値段の下がる別の本を買ったのだった。
それ以来すっかり忘れていたのだけど、先日雑誌をぱらぱらめくっていたら幾つかの写真集を紹介しているコーナーがあって、それを目にしたとき唐突にこの本の存在を思い出した。
そしたらなぜか猛烈に欲しくなって、本屋をめぐったものの見つからず、通販で二日遅れでゲット![]()
心に仕舞ったときはただの種だったのに、しばらく放置してるうちにこんなに育っちゃったのね…っていう感じ。
さて肝心の中身は…ため息が出るほど美しい。
どのページも一枚残らず、なんて素晴らしいんだろう…。
川の水も緑の木々も、地面に生えている草の一本でさえ、この世に享受した生の歓びを謳歌しているかのよう。
人間は海の底、山の果てにまでわけいって、地球の全てを手中にしたかのような顔をしているけれど、結局地球の胸に抱かれて甘やかされているのは人間の方。
人間が支配の対象として地球を見ている限り、地球はその本当の美しさも輝きも、私たちには見せてくれないのかもしれない。
でも時折、こちらが自然への畏敬に打たれて一人でぽつねんと立ち尽くすとき、自然の歓びに感応して自身の生命の歓びを感じるとき、ほんの少しだけ、本来の姿の片鱗を見せてくれる。
この写真集は、その瞬間を抽出したかのような珠玉の一冊。
この目でこんな地球を見れるようになりたい。
さて、一緒に買った同じ写真家の本。
日没、太陽が隠れて星が輝きだすまでの空が蒼い12分間を「BLUE MOMENT」というそうな。
その瞬間だけを撮った本。
BLUE MOMENTは地球上どこの国にもどこの人にも平等に訪れているはずなんだけど、吉村さんの手にかかるとこんなに美しい瞬間を、今まで毎日経験してるはずなのに意識したこともないっていう自分の心の鈍感さが悲しい…。
今は季節柄BLUE MOMENTは会社にいる時間帯かな。
週末、意識して12分間を感じてみよう。
おまけの本。
浅田真央公式写真集「MAO」
私の永遠の心のバイブル「エースをねらえ!」で、宗方コーチがお蝶夫人を評した言葉。
「お蝶はテニスをしているときのどの瞬間を切り取ってもまるでバレエのポーズのように美しい」
真央ちゃんの写真を見てるといつも思い出す。
ショートの2分50秒、フリーの4分間、どの一瞬を切り取っても指先まで神経の通った美しいポージングが崩れることがない。
タチアナコーチについてから特に。
まさに氷の神に愛された人だ。
さて、冒頭の記憶に関連しての話。
今夜二十歳の友人が教えてくれたこと。
「感情と結びついた記憶は残りやすいんだって」
なるほど。
うわ~って膨大な情報が脳に入り込んできて、大忙しの脳は「ちょっと今忙しいから、とりあえずこれは捨てないで!これは捨てていい!これはとっといて!!後でとりにいくから!!」と残しておきたい情報にだけ「感情」のタグをつけ分類する。
タグをつけてない情報はどんどん捨てられ、タグ付きの情報は記憶箱に放り込まれ、必要になったときまでしまっておかれる。
…ってイメージ?
う~んビジュアル的に種の方が素敵だから私は種のイメージでいこう
今夜は久しぶりにヨガをやってから寝ようかな。
おやすみなさい![]()


