ジェラルドフィンジの「ピアノと弦楽のためのエクローグ」というCDを買った。

先日のスケートの大会で、ジェフリーバトルが使っていた曲だ。

美しくて優しくて、でもその中に切なさを秘めた曲。
私はこういう曲にとても弱い。

ショパンのノクターン“遺作”、亡き王女のためのパバーヌ、モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲二楽章、パッヘルベルのカノンなどなど…。

エクローグは、なんでこんなに素晴らしい曲がポピュラーじゃないのか不思議に思う位の名曲だ。

ジェフリーの演技がまさしくこの曲を体現していたけれど、頭上から柔らかな木漏れ日が降り注いでいるのが見えるような温かで優しい曲。

生きる上で幾多の哀しみがあり、別離があり、でもそんな記憶も今は全て遠く陽光に包まれて、穏やかに心が満たされている…そんな曲。

まるで天上の音楽のようで、一体どんな人がこんな曲書けるんだろうと作者のフィンジについて調べてみた。

エクローグは“田園”とかそんな意味の言葉らしい。(まさしく…)

フィンジはイギリス人で、第一次世界大戦のときに、親友や兄弟を亡くした。
それは深く彼の心を傷つけ、彼はそれから都会のロンドンを嫌い、静かな田舎で余生を過ごし、亡くなった。

読んで納得した。
エクローグは彼の人生そのものをあらわした一曲だ。
だからこんなにも人の心を打つのだ。