子供のころに初めて読んで、大人になって読み返しても全く色あせない児童書がある。
エーリッヒ・ケストナーの「飛ぶ教室」。
ドイツの寄宿舎を舞台にしたこの物語は、勇気と、誇りと、愛で溢れている。
「飛ぶ教室」の映画、ずっと観たいと思っていたのだけど、近くの品薄なレンタルビデオ屋では見つからず、思い切ってネットで購入してしまった。
土曜日の夜に初めて観たのだけど、予想以上に良くてはまった。
映画では舞台は現代にうつっていて、設定も若干異なっている。
でも主人公の少年たちは原作の魅力を全く損なわず、無邪気にのびのびと演じていた。
親に捨てられて親切な船長の養子として育てられているヨナタン。
優等生で正義感の強い、リーダー的存在のマルティン。
食いしん坊で力自慢のマチアス(通称マッツ)。
小柄で上品で、臆病ないじめられっこのウリー。
先生の息子で科学に滅法強く、弁の立つゼバスティアン。
この5人を中心に、友情や家族愛、師弟愛を描いた物語だ。
なんといってもかっこいいのはマルティン!
絵に描いたような優等生なのだけど、他の四人のやりとりを大人っぽい笑顔で見守ってる姿に私はメロメロ。しかも優等生なのに奢ってないというか(役柄だけど)、控えめな態度。でもしっかり大事な場面ではリーダーシップ。しかも子供なのにハンサム!!いいわ~将来かっこよくなるわ~♪
マッツとウリーの友情も微笑ましい。頭はいいけど臆病なウリーを宝物のように大事にしているマッツ。
ウリーを侮辱した仲間に食って掛かったり、転校生のヨナタンに「ウリーに手を出したら俺が相手だ」と最初に威嚇したり…。ウリーはウリーで「マッツみたいに強くなりたい」とマッツに訴える。
お互い自分にないものを相手に認め、あこがれて大切にする姿はとてもかわいらしかった。
ウリー役の子が本当に絵に描いたような美少年で、いじめられてゴミ箱の中に入れられて教室につるされるシーンがあるのだけど、つるされたゴミ箱から困ったように下を見下ろすちっちゃいウリーが可愛いのなんのって!
部屋に一人だったのに声に出して笑っちゃった位可愛かった。
ヨナタンとマルティンのコンビは、「かっこいい子の友達って絶対かっこいい子だよね」っていう「クラスの二大モテ男は絶対仲良しの法則」(ヒーローの法則)を地でいってるかのような感じで、頭のキレる相棒同士って感じがかっこよかった。
そしてなんといっても飛ぶ教室で私が好きなのは、先生たちと子供たちの関係。
大人にとってはたいしたことなくても、子供にとっては怪我をしてでも守らなくていけないことがある。
誰もが通ってきた子供時代だというのに、それを覚えている大人は少ない。
だからこそ、それを理解してくれる大人に温かく見守られて育つ子供たちは幸せだと思う。
大事な合唱のテレビ中継を抜け出して、友達と名誉を守るために通学生とケンカをしてきた子供たちを、先生は頭ごなしに叱らない。
それどころか、「怪我はありませんでした。」と鼻血をたらしながら悪びれずに笑う子供たちにつられて笑みをこぼし、友情を守ることは立派な行為だと褒め称える。
そんな先生を喜ばせるために、先生を守るために、自分たちにできる精一杯の力で奮闘する子供たち。
子供は、大人が考えてるほど子供ではない。
人格を認め、誇りを認めれば、ちゃんと一対一の関係が築ける。
そんなことを思わせてくれた映画だった。
そして子供たちのケンカのシーンもいじめのシーンも、双方が真剣で、最低限の礼儀を守ろうとしているせいか、陰湿な感じがしないところがいい。
ラストシーン、かつて敵対していた子供たちが腕をくみ、共に歌うシーンはとても爽やかで温かかった。
真心に溢れた映画はいい。若干肌寒い、秋の夜にほこほこと心が温まった(^^)
明日は初のドイツ語レッスン。(独学あっさり挫折…)
英語も全然しゃべれないのに、いきなりドイツ人講師とのマンツーマンを選択した私…。どうなることやら…。
でも私は頑張る。「飛ぶ教室」を字幕無しで見ることを目標にして☆
(※以前別の場所で書いた記事を転載したものです)