太極拳では力を抜くように言われます。

初心者はその抜き加減が分かりません。

そこで、例えば手と上肢についてはこんな教えです。

人差し指を僅かに伸ばす。こんな感じで。と教えます。

見本を見せて、お弟子さんにやらせて、何度か直します。

人差し指と親指が軽く伸びて、

あとの4指は少し曲がった感じです。

こういう手で、(もちろん体幹や下肢の余分な

力みを取ることも大切ですが)

半年か、1年か2年くらい稽古をしていると、

腕の中が柔らかくなって、力が通る感じがしてきます。

人差し指は力の方向を示します。そして、微妙な力加減で

伸ばそうとすることで勁道の確保と運気の基礎が身につきます。

 

こうした掌と上肢が出来ると、明らかな違いが生まれます。

手解きの動きで確認が出来ます。

こちらの右手首を相手の左手で握ってもらいます。

相手はムキになって握るのではありません。

6割くらいの力で握って違いを体感してもらいます。

  1. ただ脱力しただけの手で自分の右手を上に揚げる。

  2. 人差し指をピンと伸ばして力を入れるようにして

    右手を上に揚げる。

  3. 太極拳の型稽古の時と同じように、人差し指に

    軽く力を通すような感じで僅かに伸ばす。

この3つの違いはやっている本人よりも、手首を握っている

相手の方が分かります。

こうして太極拳の武術的身体を少しずつ創っていきます。

これは簡単な基本的な事です。

本人が普通に稽古をしていて、まともな指導者についていれば

流派による多少の違いがあっても誰でも出来ることです。