「まるまるの毬」すぐにお菓子が食べたくなる | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

まるまるの毬/講談社

ほっこり:36363636 /5
おいしそう:食食食食食 /5


西條奈加さんの
「まるまるの毬」を読みました。


『カスドース』
 かつて諸国をめぐって様々な菓子を学んだ治兵衛による南星屋は
 連日大盛況だった。しかし、松浦家門外不出の菓子カスドースに
 似た菓子が問題となり、治兵衛は詮議を受けることになってしまう。

『若みどり』
 武家の子息翠之介が南星屋に弟子入りしたいとやってきた。
 自らも武家の出である治兵衛は、娘や孫たちと一緒になって
 翠之介と親しくしていたが、やはり父親が怒鳴り込んできた。

『まるまるの毬』
 治兵衛の娘お永の様子がおかしいと、孫娘のお君は心配する。
 カスドースの一件で親しくなった平戸藩賄方の河路金吾とともに
 お永をつけていったお君は自分を捨てた父の姿を見て逆上した。

『大鶉』
 岡本家の当主で甥の慶栄は町人となった治兵衛を下へも
 置かぬふるまいをする。
治兵衛は自身が家斉のご落胤という
 秘密が周囲に漏れるのではないかと気が気ではない。
 
『梅枝』
 河路金吾から梅見に招かれ、南星屋一家は楽しみにしていた。
 しかし、当の河路の父が卒中に倒れ、国へ戻ることとなり梅見は
 中止となってしまう。その頃からお君の様子がおかしくなった。

『松の風』
 お君を岡本家に行儀見習に出してから、南星屋はすっかり
 さみしくなってしまった。様子を見に行った治兵衛は武家の
 娘らしくなったお君を複雑な想いで見守っていた。

『南天月』
 自らの出自が全ての元凶だと思い悩む治兵衛だったが、
 孫娘の思わぬ発言に胸を打たれた。紀州家当代が求める
 菓子を探って欲しいという依頼に
治兵衛は全力を尽くす。


はじめて読む作家さんですが
和菓子と時代物という大好物の取り合わせで
手に取ってみました。

徳川家斉の隠し子である
武家の次男・
治兵衛が
旅で学んだ諸国の菓子を売る
人気の菓子屋を営んでいるという設定です。

亭主と別れた娘のお永と
孫娘のお君がテキパキと立ち働く
南星屋は人気の菓子屋となったのですが
何だかいろいろと事件が起こったりします。

治兵衛の出自が事件の
大きなポイントになってるんですが
その深刻な状況も
和菓子が花を添えています。

むしろ和菓子がおいしそうです。

読み終わった後は
ついついデパ地下の銘菓コーナーで
いろいろ買いあさってしまいましたよ。

カスドースが食べたかったんですが
なかったので
文明堂のカステラを買いました。

あと、物語には絡んでなかったんですが
明石屋のかるかんスライスに
紅葉屋の五家寶も。

今ではこうやってデパートで
好きな地方のお菓子を買えますが、
江戸時代はそうもいかなかったんですよね。

何だか身も心も
ほっこり満たされるおいしい作品でした。