「暁英」続きが気になりますね | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

暁英 贋説・鹿鳴館 (徳間文庫)/徳間書店


緻密:ぎゃーーぎゃーーぎゃーーぎゃーー /5
のめりこみ:17171717 /5


北森鴻さんの
「暁英」を読みました。


作家の津島は
鹿鳴館をテーマにした小説を
書こうとしていたが、資料がほとんど
残っていないことに驚いていた。

海南という男から存在しないといわれていた
鹿鳴館の設計図のコピーを受け取り、
島津はこれまで書いたプロットを
すべて破棄し、恐ろしいスピードで
新たに小説「暁英」を書き始める。

鹿鳴館の設計者である
ジョサイア・コンドルは
病床にある日本画の師匠暁斎と
過去を語らっていた。暁斎に残された時間は
ほとんどない。



未完の北森作品です。

鹿鳴館の資料がなぜ残っていないのか
ジョサイア・コンドルの設計にしては不恰好な外観、
依頼者の井上馨の指示を
無視したかのようなその造りには
実は明治時代の闇を写す秘密があった
――というストーリーの作中作が展開する
お話です。

作中作ということを忘れるくらいに
作中作がほとんどのページを占めています。

そしてものすごくいいところで
<未完>!
気になります。

しかもなぜ作中作にしたのか
その謎も残っています。

序盤に作家の島津が
コンドルの設計図を見た途端に
何かに思い至り
いきなりものすごいスピードで小説を
書きはじめるんですけど、
何、何、何なのかしらー。

ともかく、北森作品らしい
設計の知識や明治時代の描写が
みっちりと書き込まれた作品は
読み応え満点でおもしろいですね。

もう新作が読めなくなるということを
改めて愕然とさせられます。

続きは勝手に妄想しますか……。