「鼻に挟み撃ち」不思議な展開の短編4作 | 本の話がメインのつもり

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鼻に挟み撃ち 他三編/集英社

文学:納得納得納得納得 /5
すごい発想:ぎゃーーぎゃーーぎゃーー /5


いとうせいこうさんの
「鼻に挟み撃ち」を読みました。


『今井さん』
 長い間テープ起こしをして暮らしている
 ”私”は、ある日”今井さん”に宛てた
 メッセージを語りだす。

『私が描いた人は』
 日曜画家の私が描いた七枚の連作は学生時代の
 友人PQを描いたものだった。彼は司法試験のため
 勉強を続けながら倉庫で働いていた。

『鼻に挟み撃ち』
 御茶ノ水駅の横、聖橋のたもとで、マスクをした
 男が演説を始めた。ロシア文学について詳細に
 語りだした男は、徐々に不思議なことを言い始める。 

『フラッシュ』
 LSDがしみこんだ紙片を女に噛ませると
 女はものすごい勢いで文章を綴りだした。
 私は中毒になったようにその文章を読みふけった。



「見仏記」以外のいとうせいこうさんは
初めてです。
気になったので読んでみました。

ものすごい発想が展開する
不思議な物語が4編です。

表題作は芥川賞候補作品だったようですね。
どれも文学の香りがしつつ
何だかおかしいような
せつないような……。

表題作がやはり一番
迫力がありましたね。

いきなりおかしな男が
演説を始めたかと思うと
自分の鼻がなくなったとか言い出すんですよ。
すごい展開じゃないですか?
そこからもっとすごいことになったりします。

最後の「フラッシュ」という短編では
フラシュモブという
街中での芸術的なドッキリ
(いきなり複数人での路上パフォーマンスが
 始まるようなヤツです)
をやったことがある女性が出てくるんですが
これを読んで
フラッシュモブというのに
興味が出て動画をいっぱい見てしまいましたよ。
作品には直接関係ないですけど
面白かったです。