「満月ケチャップライス」あの教団……。 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。


満月ケチャップライス/講談社

切ない:000000000 /5
興味深い:151515 /5


朱川湊人さんの
「満月ケチャップライス」を読みました。


朝、妹の亜由美に起されて
台所へ行くと、見知らぬ若いモヒカンの男が
寝ていた。

どうせ母がつれてきた男だろうと
思っていたが、
彼、チキさんは、今までの男とは
ちょっと違っていた。



今まで読んだ朱川作品の例にもれず
あったかくて、切なくて、
ちょっぴり不思議な作品でした。

飲み屋のママである母と
中学生の”僕”と
足が不自由な妹の亜由美という
母子家庭に
モヒカンのちょっと変った男が入り込み、
子どもたちと心通わせちゃうお話です。

しかし、その男、チキさんには
ちょっとした秘密があって……。


オウム真理教関連の事件という
事実とも絡んでいて、
興味深かったです。

地下鉄の事件の前の段階では
教団の存在すら知らなかったのですが、
この作中での教団の様子が
妙にリアルに感じられましたね。
案外、こんな感じだったのかも、と
思わせられちゃいました。

まぁ、それは舞台設定なので
本筋とは外れますが。


子ども達とチキさんの関係が
あたたかくてステキでした。
その分、あのラストが――と、
ネタバレなのでやめておきます。