「南極(人)」いろいろすごいです | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

南極(人)/集英社


ひどい:…………………… /5
むちゃくちゃ:ぎゃーーぎゃーーぎゃーーぎゃーー /5   *ホメ言葉です。


京極夏彦さんの「南極(人)」を
読みました。


『海で乾いていろ!』
 編集者の椎塚有美子は売れない作家赤垣廉太郎に怪談体験のことを
 話していた。とある作家のパーティに招かれたものの南極というこれまた
 売れない作家のせいで迷子になったときの出来事だった。
 
『宍道湖鮫』
 赤垣廉太郎はUMAの取材に来ていた。目撃者はかわいい女子高生だ。
 陣台湖にあらわれるという「それ」を捕獲するにあたり、呼び出された
 怪獣捕獲の名人というのが、なんと南極夏彦だった。
 
『夜尿中』
 編集の獏井翔子と涙を流す仏像の取材にいくはめになった赤垣は、
 さっそく道に迷っていた。そこへ一人のお坊さんが通りかかり、赤垣は
 必死で呼び止める。しかしそれは僧侶の格好をした南極夏彦だった。

『ぬらりひょんの褌』(こち亀コラボ企画)
 新葛飾署の大原は部下の寺井に中野を案内してもらっていた。大原は
 盆栽の稀覯本があるという古書店へ行きたかったのだが、
 寺井は両津の気配がするような店にばかり案内する。

『ガスノート』
 編集長となった椎塚有美子は寺坂からロビーに投棄してあったという
 汚物を見せられた。それは十年ぶりに見た南極夏彦だったのだ。同窓会の
 ようになった場で持ち上がったのは人気女子アナの失脚の話題だった。

『探偵がリレーを』
 編集の祝田が起こした原稿をみて有美子は激怒した。ミステリ作家協会の
 記念となる企画での原稿で、最近人気の書評家・北極星ヒカルがミステリを
 否定するような発言をし、祝田がそれを原稿に起していたのだが――。

『毒マッスル海胆ばーさん用米糠盗る』
 箆山は台所で筍を煮る老婆の幽霊の話をした。赤垣は胡散臭そうに
 聞いていたが、どうやらその老婆の霊を鎮めたのが海胆らしいと聞いて、
 それを借り、霊が出るという作家の家に向かった。

『巷説ギャグ物語』(イラスト・赤塚不二夫)
 白塚は自身のいるギャクマンガという世界の不条理に思いを
 馳せていた。すると、小説世界から来たという凡庸な男と妙に高圧的な
 女が現れた。南極とかいう簾ハゲを探しているらしい。



すごい本でした。

どこからつっこんでいいのか
わかりません。

南極夏彦という
小さくで太った簾のような頭髪の
作家(?)が中心になった、
メタなネタがたっぷりの
ギャグマンガのような短編集でした。

どすごい(仮)のように
有名小説のパロディ要素もあります。

ネタになった小説を知っている人は
面白いかも、ですね。
(結局、関係ないようにも思いますが……)

全体的にちょっと昔のギャクマンガっぽい
ノリだなぁと思っていたのですが、
ラストの赤塚不二夫先生とのコラボで
そっち方面を目指してたらしいことが
書かれていて(←冗談かしら?)
妙に納得しました。

いろいろとすごい作品でした。
京極夏彦さん、底知れないです……。