- 詩羽のいる街 (角川文庫)/山本 弘
泣ける: /5
前向き: /5
山本弘さんの
「詩羽のいる街」を読みました。
『それ自身は変化することなく』
行き詰っていた漫画家志望の陽生は公園で子どもたちの
トレーディングカード交換を機転をきかせてで仲介する女性を見た。
女性は詩羽と名乗り、一日デートをしないかと誘ってきた。
『ジーン・ケリーのように』
大好きなマンガの最終回を読み終えた沙世はホームセンターで自殺を
するための道具をそろえた。美しい夕日を見ながら死ぬつもりだったのに、
首を吊るためのロープがうまく扱えない。
『恐ろしい「ありがとう」』
日曜日の朝、様々なハンドルネームを用いてあちこちのスレッドに思っても
いないことを書き込み、真剣に反論されたり、スレッドが炎上するのを
楽しんでいた。露見する可能性が低い嫌がらせをするのが趣味だった。
『今、燃えている炎』
アニメの舞台となった賀来野市でイベントが行われることになり、原作漫画家
アオさんと電車に乗る。賀来野市にいるという詩羽という人物に興味が
あったのだが、アオさんはそれは都市伝説だと云い張る。
naminnieさんが
オススメしてくださいました。
小学生以来の山本作品は
2作品目です。
賀来野という街で全くお金を持たずに
生活している詩羽という女性を中心にした
連作短編です。
どうやって暮らしているかというと、
人に親切にし、その見返りに
泊めてもらったり、食事をご馳走になったり、
物々交換をしたりしているわけです。
詩羽の存在を媒介にして
街の人々がどんどんつながっていくのが
爽快なストーリー。
詩羽の謎めいた過去や
作中作品の作り込み、
ちょっとしたエピソードなどの
小さな小道具までがキラキラな感じです。
やる前から諦めちゃいかんですな、と
前向きになれる作品です。
naminnieさん
ありがとうございました!