「水底フェスタ」 ”水底”これにつきますね。 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

水底フェスタ/辻村 深月

鬱:…………………… /5
引き込まれ:171717 /5


辻村深月さんの
「水底フェスタ」を読みました。


同級生と訪れたロックフェスで
織場由貴美を見た。

睦ッ代村に誘致されたロックフェスを
湧谷広海は毎年楽しみにしていた。

村民の広海は無料で参加できる。
フェスに理解がある村長の父親のことも
誇らしく思っていた。

しかし村出身の芸能人である
織場由貴美と出会ってから
村の本当の姿に気付き始める。



なかなか辛い要素の多い作品でした。

高校生の広海が
村を憎む8歳年上の芸能人の由貴美に
翻弄されます。

閉鎖的な村の雰囲気に
若者らしい嫌悪感を持っていた広海は
由貴美の態度に疑問を感じながらも
深みにはまっていくわけですね。

全体的に「水底」って感じです……。
暗い雰囲気なのです。 

田舎の風景や薄暗い家の中の描写、
表面的には静かな村人たちの様子が恐ろしい。
(裏では噂話ですべてが筒抜けになっているのですよ)

村の真実の姿や由貴美の思惑など
先が気になって読み止らないところは
さすがな辻村作品ですね。

ラストもかなりどんよりきます。
落ち込んでいるときは
読まない方がよさそうですね……。