「こちらあみ子」考えさせられます。 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

こちらあみ子/今村 夏子

不思議:33333333 /5
考えさせられる:GOODGOODGOOD /5


今村夏子さんの
「こちらあみ子」を読みました。


『こちらあみ子』
 十五歳で引越しをするまで、あみ子は田中家で育った。継母は書道の
 先生で、父は優しく、兄は不良だった。あみ子はのり君が大好きで、
 学校はさぼってばっかりだった。 

『ピクニック』
 ローラーシューズを履いた女の子たちがビキニ姿で接客するという
 お店に七瀬さんという三十代の女性がやってきた。彼女は人気芸人を
 恋人に持ち、ルミたちはデートの話などを楽しく聞いていた。


「こちらあみ子」 は
太宰治賞を受賞したそうです。

とても不思議な話でした。

十五歳のあみ子が
過去を振り返る形で進む物語です。

何でも言葉通りに信じ、
素直に行動してしまうあみ子が
知らず知らずのうちに人を傷つけてしまったり、
それに気付くことができなかったり……。

優しい家族たちも
少しずつ消耗していきます。

あみ子は気付かない。
でも読み手は様々なことに気付いてしまう。
なんとも巧みな文章に感じます。

周りの人々とあみ子の優しさが
かみ合わなくて切ないです。
そしていろいろと考えちゃいます。


「ピクニック」の方は
ちょっと怖いお話でした。

こちらも「気付かない登場人物」と
「気付いちゃう読み手」の対比が
怖さをかもし出す物語に感じました。

女子って怖いです。


以下、ちょっとネタバレなのかもしれません。


これは――みんなで七瀬さんを
いじめているっていう話を
表面的にはキレイに描いた作品ってことでしょうかね。
深読み過ぎ……かもしれませんが。

ちょっとした違和感が
徐々に広がっていく怖さがありました。




今村さん、
気になる作家さん入りです。

次の作品も読みたいと
思いましたよ。