「虚言少年」ばかばかしくていい | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

虚言少年/京極 夏彦


笑:プップップップップッ /5
懐かしい:あったか気分あったか気分あったか気分 /5


京極夏彦さんの
「虚言少年」を読みました。


『ソノ一・三万メートル』
 六年一組の内山健吾は教室の前で妙なことに気付いた。静かなのである。
 教室の隅に女子が固まっており、泣いている。友人の誉は興味津々で
 近づき、「モテたいグループ」の池内がそれを阻止する。

『ソノ二・たった一票』
 児童会長で人望のあるカズーが急に転校してしまい、新しい児童会長の
 選挙が行われることになった。クラスの長男という称号を与えられている
 友人の誉をたきつける健吾、健吾に矛先を向ける京野――。

『ソノ三・月にほえろ!』
 暑い中、健吾は誉と京野にお楽しみ会でやる劇への意見を求めていた。
 諸事情により健吾は一人でそれを考えるはめに陥っていた。劇はクラスの
 事情や教師など気を配る必要のある事項が多過ぎる。

『ソノ四・団結よせ』
 運動会はどうでもイイ派の健吾、ボロボロだった総練習後のクラスの
 やる気にみなぎった雰囲気に、体育が嫌いな京野、得意ではない誉と
 意見を交わす。

『ソノ五・けんぽう』
 同好会だッと誉は急に言い出した。放課後に馬鹿をやる
 健吾と誉と京野の三人の集まりに名前をつけようとしたのだ。
 健吾と京野は気が乗らない。

『ソノ六・ひょっこりさん』
 コックリさんが大流行した。京野は信じていないくせに関連の本をたくさん
 所持しており、クラスの流行の原因の一端を担っていたと健吾は思う。
 京野の予想通り、学校でのコックリさんは禁止されるが……。

『ソノ七・屁の大事件』
 クラスの悪役・萩本が家庭科の授業中に屁をする。そして授業中に
 便所へ行く。とうとう担任・遠藤が「屁」が問題視し、屁の全面禁止へ動き出す。
 その一方で健吾は朝から体調が悪そうな河下くんの動向が気になっていた。
 


これはおもしろかったです。
何という馬鹿ばかしさでしょうか。
かなり好みです。

クラスでは目立たないようにしているが
実は嘘つきで馬鹿なことが大好きな内山健吾と
丸顔でスケベで素直な友人・誉、
小学生とは思えない詭弁を弄する京野、
その三人がウダウダウダウダと
学校行事やクラスの事情について
語り合い、馬鹿をやります。

時代はちょっと「現在」よりも前の
設定のようです。
銭湯があってもコンビニはなく、
教師からの体罰も当然のように
存在しているような時代ですね。

小学生のクラスの様子が懐かしいです。

女子にモテたいオーラ出てる男子、
モテたくないと思っている地味な男子、
群がって泣く女子に、正論を振りかざす女子、
小さな出来事が大事件になる毎日……。

主人公の健吾の目線での
描写が本当に細かくて
面白かったです。

主役三人の掛け合いや
力関係も笑えます。

健吾くんと京極堂ばりの詭弁を弄する京野が
とても小学生とは思えないですね。

中学生編も出ないかしら……、
いや、小学生だから面白いのかしら。