- 秘密。―私と私のあいだの十二話 (ダ・ヴィンチ・ブックス)/著者不明
違う視点がおもしろい: /5
お手軽: /5
「秘密。私と私のあいだの十二話」を
読みました。
A『ご不在票――OUT-SIDE――』 B『ご不在票――IN-SIDE』
吉田修一
A ずっと不在だった505号室にようやく荷物を受け取ってもらえる。
B 配達員はタイミングが悪過ぎた。
A 『彼女の彼の特別な日』 B『彼の彼女の特別な日』
森絵都
A 元恋人の結婚式に出た帰りにバーへ立ち寄った。
B 祖母の49日の帰り、若い頃の祖母に似た女性を見た。
A 『ニラタマA』 B『ニラタマB』
佐藤正午
A 裏メニューのニラタマの出前を頼んだとき、アラーム音がした。
B いつものニラタマの人から注文が入った。
A 『震度四の秘密――男』 B『震度四の秘密――女』
有栖川有栖
A 恋人との嘘の電話中に地震が起こったというニュースを見た。
B 輝樹は電話中に地震が起こった演技をした。とんでもない大根役者だ。
A 『電話アーティストの甥』 B『電話アーティストの恋人』
小川洋子
A 電話周りをアートにしてしまう伯母が亡くなった。
B 死んだ伯母の遺品を見たと、知らない男の人から電話があった。
A 『別荘地の犬 A-side』 B『別荘地の犬 B-side』
篠田節子
A 人懐っこい犬を別荘地で拾った。滞在中に飼い主が現れるのを願う。
B 別れた夫がかわいがっていた犬に似た迷い犬の張り紙を見た。
A 『<ユキ>』 B『<ヒロコ>』
唯川恵
A ユキはヒロコと違って、美人で何かと得をしていた。ただ最近、夢見が悪い。
B ヒロコな毎日夢を見るのが楽しみだった。
A 『黒電話――A』 B『黒電話――B』
堀江敏幸
A 孫から誕生日プレゼントは黒電話が欲しいと言われ……。
B 翔太は祖父からのプレゼントに大喜びだったが、それは古い黒電話だった。
A 『百合子姫』B『怪奇毒吐き女』
北村薫
A 道夫は生徒会の憧れの先輩をひそかに百合子姫と呼んでいた。
B 健は姉のことをひそかに怪奇毒吐き女と呼んでいた。
A 『ライフ システムエンジニア編』 B『ライフ ミッドフィルダー編』
伊坂幸太郎
A 仕事で友人の出るサッカーの試合を見に行くことはできなさそうだった。
B 敵地での試合だが、小学校からの友人のあいつは来ているだろうか。
A 『お江戸に咲いた灼熱の花』 B『ダーリンは演技派』
三浦しをん
A だらだらと続く時代劇の撮影に恋人の園子に電話もできない。
B 人気俳優の恋人から電話がかかってきたが、何だか様子がおかしい。
A 『監視者/私』B『被監視者/僕』
阿部和重
A 彼女の動向を監視し始めて、すでに半年が経っていた。
B 家を出た父親の影響か、結婚について彼女はずっと踏み切れずにいた。
視点が変わる小説って
好きなんです。
そんな小説がショートショートみたいな状態で
12編ってかなりひかれて
読んでみました。
しかも人気作家さん目白押しですし。
やはり長編と違って
どれもあっさりしていますが、
おもしろかったです。
A視点での事実が
B視点でひっくり返る、
脳がいい具合に刺激されますね。
お気に入りがいっぱいですが、
中でも小川洋子さんの作品が
ショートショートなのに、
設定に特徴がガッツリ出ていて、
すごいって思いました。
森絵都さん、有栖川有栖さんの作品も
いいなぁと思います。
手軽にいろんな作家さんの作品が
読めるので、こういう試みはありがたいですね。
読んだことがない作家さんでは、
阿部和重さんが気になりました。
序盤に複雑で殺伐とした印象を見せつつ、
最後にふわぁと優しい雰囲気に覆ったりして
ちょっと好みかも――と。
どんな作品を書かれている方なのかしら。