「最後の喫煙者」黒い、黒すぎます | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

最後の喫煙者―自選ドタバタ傑作集〈1〉 (新潮文庫)/筒井 康隆

ブラック:ぎゃーーぎゃーーぎゃーーぎゃーーぎゃーー /5

笑:ワクワクワクワクワクワクワクワク /5



筒井康隆さんの

「最後の喫煙者」を読みました。



『急流』

 いつ頃からか皆がたびたび遅刻するようになった。

 そのうちその遅刻は常態となり、やがて誰もが

 時間が加速していることに気付く。


『問題外科』

 手術開始予定時間の5分前になっても、助手達は

 誰もやってこない。仕方なく、おれと広田は雑談しながら患者を

 運び入れ、腹を割いたが、それは別人だった。


『最後の喫煙者』

 十数年前に始まった禁煙運動は突然の昂ぶりを見せ、

 喫煙者はどんどん狩られてしまった。そして

 とうとうおれが世界最後の喫煙者となった。


『老境のターザン』

 「あーアあアあーあ」とコンゴの奥地に響くターザンの声は

 弱よわしい。老境にあるターザンは体に鞭打ち、

 探検隊に発見されるという仕事を続けていた。


『こぶ天才』

 「ランプティ・ダンプティ」という虫を背中に背負い

 寄生させた子どもは天才になる。ただし、背中に醜い

 こぶができて、一生そのままである。


『ヤマザキ』 

 信長が本能寺で死んだ。

 秀吉はそのことを毛利方に知られないように策を弄して、

 講和を成立させようとするが……。


『喪失の日』

 藁井勇は秘書課の野口圭子との密会の約束を取り付けた。

 エリートコースをひた走る藁井にとって

 圭子は「喪失の相手」としては申し分なかった。


『平行世界』

 チャイムがなったので玄関を見ると「おれ」が立っていた。

 突然に上下に何層も連なる平行の世界が行き来可能に

 なってしまったのだ。


『万延元年のラグビー』

 万延元年、桜田門にて井伊大老が討たれる。その首を

 偶然手に入れた但馬守は、積年の恨みもありそれを

 隠してしまう。かくして、井伊家との首の奪い合いは始まった。



久々に筒井作品を読みましたが、

やはりかなりブラックですね。


ほぼ笑えましたが、

一部笑えないものもありました。


『問題外科』は怖すぎたので

1ページ未読です。

こういうグロさは苦手なのです。


局部麻酔で意識のある人のお腹を

メスでかっさばいて、

外科医2人が笑いながら

臓器を取り外しちゃったりします。


怖かった……。 


しかし他の短編はどれも

楽しく読めましたよ。


全体的にブラックユーモア満載なのですが、

流血しなければ平気です。


表題作の「世界最後の喫煙者」と

「ヤマザキ」「万延元年のラグビー」が

お気に入りです。


この黒い発想、とんでもない展開、

好きですね。


現実世界では些細なことが

取りざたにされる世の中ですから

これくらいブラックに走られると

小気味よいです。