「元職員」後味悪いのも味なものかも | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

元職員 (100周年書き下ろし)/吉田 修一

読後感:…………………… /5

短いのに質量がある:☆☆☆ /5


吉田修一さんの

「元職員」を読みました。



一人タイのスワンナプーム国際空港へ

降り立った片桐は、

食事をしていた屋台で

武志という青年に出会った。


武志は片桐にミントという美しいタイ人女性を紹介する

片桐はタイの滞在中、

ミントと楽しく過ごすが、

その胸中は別の想いが渦巻いていた



吉田作品は久し振りです。

怖いもの見たさで

どんどん読み進められる作品でした。


タイを訪れた片桐はやたらと

羽振りのいい男で、

タイで働く青年・武志は彼が

IT関係の社長か何かだと思うほど。


しかしその羽振りのよさの理由が

実は……

と、日本での過去の片桐のエピソードが

少しずつ、明らかになってきます。


この構成、かなりドキドキします。


何となく予想はつくのですが、

それでもドキドキ……。


そしてミントという女性との

表面的には甘いバカンスの日々……。

さらに読後感を最悪にするラストシーン。


なぜでしょうか、

ページ数が少ないのに

何だかガッツリ心に

居座っちゃってる感じがします。


一気に読んでしまいました。

始終不穏なオーラに包まれていて怖いのですが、

この読後感が妙にクセになりそうな……。