「魔法飛行」駒子ちゃんの作品お目見え | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

魔法飛行 (創元推理文庫)/加納 朋子

ロマン:不思議不思議不思議不思議 /5

構成にビックリ:!!!!!!!!!/5



加納朋子さんの「魔法飛行」を読みました。



『秋、りん・りん・りん』

 駒子は学校でお人形のようにキレイな女の子に出会った。

 その女の子と同じ講義を受けたとき、回ってきた出席簿の

 その子の名前は、2回とも違った名前だった。


『クロス・ロード』

 駒子は美容院で幽霊の出る交差点の噂話を聞いた。

 何となく見に行ってみようと思ったら、美容院の先生の息子シゲに

 呼び止められた。


『魔法飛行』

 学園祭の受付をすることになった駒子と友人の野枝は

 5人の子どもたちに風船を渡した。その後、そのうちの赤い風船が

 空高く飛んでいってしまうところを見た。

 

『ハロー、エンデバー』

 駒子のもとに2度届いた謎の手紙。3度目の手紙には

 自殺をほのめかす内容が……。慌てて、手紙の主を

 探そうとする。



「ななつのこ」という作品の続編です。


駒子が自作の物語をしたためた手紙を

瀬尾さんに送り、

瀬尾さんはその物語の感想や

ちょっとした謎解きを添えて返事をする、

そんなやり取りでお話が進みます。


今回は、駒子の日常で起こったことを

物語(私小説のような感じでしょうか)にして

語っています。


前作同様に、手紙のやりとりで

その日常で起こった不思議なことの

正体がわかってくるのですが、

序盤、何となくスッキリしないなぁ、と

思っていたのです。


しかし、最後にそのあたりもしっかり

カバーされていて、

さらなるビックリが用意されていました。


これはすごいですね。


そして駒子ちゃんの文章がいい。

あえて加納さんではなく主人公駒子ちゃんの文章と

言ってしまいますね。

物語部分は駒子が書いているという

設定になっています。


それがかなりロマンチックなのです。


たとえば、宇宙に初めて行ったライカ犬、クドリャフカに

思いを馳せた文章がところどころにあり、

作中でも重要な意味を持っているのですが、

その辺りが妙に気に入ってしまいました。


宇宙船の中で、一匹、

鈴の音を聞いて餌を食べるクドリャフカ。

地球に戻ることはできないのです。


なんだか、こう、ぐっときました。

犬好きだからかしら……。